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会長の話
新年度にあたって

医師会員の皆さま、市民の皆さま、こんにちは。新潟市医師会長に就任して早いもので1年が経ちました。医師会の役割は、医学・医療の専門家集団として、地域医療・保健・福祉の充実、向上に貢献する事が第一義的であるとの基本的な考え方で事業を推進してまいりました。今年度も同様の姿勢で仕事をしてまいります。
さて、3月11日に起こりました東日本大震災は未曽有の大災害でした。不幸にしてお亡くなりになられました方々のご冥福をお祈り申し上げますと共に、被災されました方々に心よりお見舞いを申し上げます。新潟市医師会として、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県へ、一般市民の皆様方の保健・医療・福祉体制の再建のために、義援金を贈らせて頂きました。
また、東京電力福島第1原発の事故は非常に深刻で、日本全体の問題となっております。放射能汚染が大気や海水へ拡大して行くことになると、世界的な問題となって行きます。アメリカのスリーマイル島の原発事故を超える事故を起こしてしまった日本では、今後エネルギー政策の見直しをせざるを得ないのではないでしょうか。現在日本には54基の原発があり、14基の建設計画が進行中です。2009年度、総発電力量に占める原子力発電の割合は、29.2%でしたが、これを2019年度までに41%に引き上げる計画です。少なくともこの計画は思い止まるべきと思います。大都会は太陽光発電など自然エネルギー利用へ転換すべきと思います。核廃棄物処理もままならない日本で、これ以上原発を増やすことはおかしいのではないでしょうか。
何はともあれ、厳しい環境下にも関わらず、必死に事故処理に当たっている多くの作業員の皆様方には敬意を表したいと思います。政府、東電は専門家集団、海外の専門家の周知を結集して、一刻も早く事態の鎮静化を図ってもらいたいと願うばかりです。
福島県からは多くの方々が県外へ避難されております。新潟市にも多くの方々が来られました。新潟市の避難所での健康相談、医療支援には、医師会として全面的に協力しております。多くの会員の先生方に活動して頂いております。また、被災地での医療支援のため、多くの医師会災害医療チームが派遣されております。
今後の復興には相当な資金と時間が必要となるでしょう。私たちも、それぞれができる事をやることによって、復興を応援してまいりましょう。
本年度の新潟市医師会の事業について概要をお話ししたいと思います。
1)地域医療事業について
- 1.病診連携体制を構築
地域医療の充実には、医療機関の連携が重要です。病院と診療所の連携を進めてまいります。現在、16の病院に診療所との病診連携事業に参加して頂き、患者さんの紹介や検査予約などがスムーズに行われる体制作りをしています。
市民の皆様方には、いつでも相談しやすい「かかりつけ医」を持たれることをお勧めします。体調の悪い時には、まずは「かかりつけ医」にご相談ください。精密検査や高度な医療の必要な場合には、「かかりつけ医」が専門医や病院を紹介したり、受診予約を取り、皆様方の便宜を図ります。勤務医にとっても、負担が軽減されることになります。検査の重複や薬剤の重複が避けられ、皆様方にも負担が軽くなりますし、全体として医療費の節減に資することにつながります。
また、病診連携推進のため、疾患ごとの地域診療連携パスを進めてまいります。現在、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、肝がんの5つのがんについて、新潟県内共通のがん診療連携パスがスタートしております。遠くの病院へ毎月受診しなくても、定期的なチェックは近くの「かかりつけ医」で診てもらえるシステムなのです。
- 2.救急医療体制の整備
合併により広域化した新潟市の新しい救急医療体制は、新設された8診療科からなる急患診療センターを中心として、平成21年度よりスタートしております。センターには開業医、勤務医が日常診療のかたわら、交代で出務しているのです。年間約66000人が受診されます。このうち、重傷な患者さんは病院へ紹介しますが、受け入れ協力病院を輪番でお願いしています。当番病院の当直の先生は、入院患者さんの他に診ることになるので、大変な労力を強いられているわけです。多くの先生方の努力で、市民の皆様方の安心・安全を守る救急医療体制が成り立っている事をご理解頂ければと思います。
- 3.在宅医療地域連携体制の構築
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これからの医療は、急性期医療、慢性期医療、在宅医療の役割分担・連携をどのように進めて行くかが重要なテーマです。65歳以上の高齢者人口が次第に増加して行く将来を見据え、介護施設整備を進めると共に、在宅医療地域連携体制の構築が必要です。行政と協議を進めてまいりたいと思っております。
2)地域保健事業について
乳幼児健診、妊産婦健診、学校健診、特定健診、がん検診など、あらゆる年齢層を対象として活動をしております。また、行政側にいろいろ提言をし、健診内容の充実を図ってきております。
がん検診につきましては、受診率の向上に努め、精度管理を充実させてまいります。早期発見、早期治療によって、がん疾患による死亡率を少しでも低下させるよう努めてまいります。新潟市では、かかりつけ医でいつでも検診が受けられるようになっています。是非毎年検診を受けられますようお奨め致します。
3)予防接種事業について
医師会では長年にわたって、任意接種のワクチンに対する公費助成を行政にお願いをしてきました。昨年末、子宮頸がんワクチン、小児肺炎球菌ワクチン、Hibワクチンについて、国が公費助成を決めたことを受け、新潟市は地方負担分全額公費助成を決定しました。実に素晴らしい決定でした。しかし、その後、小児肺炎球菌ワクチンとHibワクチン同時接種で数例の死亡事故が発生し、中断となった事は残念でしたが、早期に問題解決が図られ、4月1日より再開されたことは幸いでした。
予防接種を受ける事は病気の予防になるとともに、病気になって他の人たちに感染を広げない事につながります。ワクチンは病気を予防する最も有効な手段です。特に子供たちの輝かしい将来を守るため予防接種を受けられますようお奨めいたします。
4)終わりに
私たち医師の仕事には、病気の治療だけでなく、病気にならないように健康相談や、早期発見のための様々な健診を行うことなどがあります。その実現のため、医療機関の相互連携や行政との密接な連携を取って行くことが、医師会の役割と考えております。私、新潟市医師会長として、執行部の先生方、事務局のスタッフの皆さんと共に、新潟市民の皆様方の健康を守るため、地域医療・保健・福祉の充実・向上に貢献してまいりたいと思っております。
平成23年4月