市民のみなさまへ

新潟市医師会

慢性硬膜下血腫

伏島 徹

(秋葉区 ふせじま脳外科クリニック)

頭を打った後、頭痛や意識障害などがみられ、医療機関を受診し、頭部CTや MRI検査でも異常がなく、その後に症状がよくなれば、それで大丈夫でしょうか? 実は、外傷後しばらくの間はなんともなくても、1~2ヵ月の内に頭蓋骨の中に血液がたまってきて、頭痛(それほど強くないことが多い)や片マヒ(片側の手や足の動きが悪くなること)、認知症状(物忘れや行動異常)などが徐々にあらわれる病気があります。脳とそれを包む硬膜(頭蓋骨の内側にある)の間にじわじわとゆっくり血液がたまる病気で慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)と呼ばれています。 60歳以上の高齢の男性に多く見られますが、アルコールの多飲、脳梗塞や心筋梗塞の予防薬の使用や肝臓病などによる出血傾向(出血し易さのことですが、検査してみて初めて分かることの方が多い)、がんの硬膜への転移(がんを指摘されたことのない方もいます)などがあると、高齢者でなくても、又、頭部への外傷がはっきりしなくても発症することがあります。乳幼児期にも見られ、頭部外傷(頭を直接打撲せず強く揺さぶられるだけでも発生します)の他に髄膜炎、血友病や白血病などの血液の病気、栄養不良といった大人とは違った原因があります。機嫌の悪さ、けいれん発作、嘔吐などが主な症状です。 診断は、頭部CTやMRI検査で簡単に識別できます。血腫が小さければ自然吸収を期待できますが、ある程度大きくなれば手術で取り除くしかありません。通常は局所麻酔で頭蓋骨に小さな穴を開け血液を取り除くだけの簡単な手術ですみ、早期に適切な治療が行われれば後遺症もなく治ります。しかし治療が遅れると片マヒや認知症状が残り、最悪の場合には死に至ることもあります。 受傷後1~2ヵ月後に発症するため、周囲はもちろんのこと、本人さえ頭を打ったことを忘れがちです。いつまでたっても頭痛がとれない、手足に力が入らなくなった、物忘れや意欲の低下などの症状が徐々にみられるようになったなどという場合には、この病気を疑うことが大切です。アルツハイマー病や動脈硬化にともなう認知症状と間違えられて、治療開始が遅れることが少なくないので、特に、お年寄りの方やそのご家族の方は注意して下さい。

(2014.10.2)

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