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新潟市医師会

無痛(和痛)分娩について

渡邊 稔

(中央区 渡辺記念クリニック)

自然分娩・ラマーズ法、無痛分娩など、出産における分娩方法はさまざまです。日本では「自然なかたちで産むのが一番」「お腹を痛めて産んでこそ母親になれ、母性もできる」という考え方が根強く、無痛分娩はタブー扱いされてきました。しかし最近は高齢出産、ハイリスク出産を背景に欧米で主流の分娩方法“硬膜外麻酔による無痛分娩”に関心が高まってきました。

硬膜外麻酔法とは背中(腰椎の硬膜外腔)にカテーテルという細いチューブを入れて局所麻酔薬を注入し、痛みの信号が脳に伝わるのを途中でブロックさせることで痛みをコントロールする方法です。過度の痛みやストレスは血管の収縮を招き、子宮の血流量が低下し赤ちゃんの酸素不足を引き起こします。このため、この方法を使うと、出産時の痛みが軽減(和痛)し、リラックスしてお産が出来、また赤ちゃんにも負担がかからないというわけです。

前述したほかにメリットとしては、効果が比較的早いこと、運動を支配する神経には作用しないため自然にいきめる(産んだ実感があります)こと、産後の疲れが少ないことなどがあげられます。一方、デメリットとしては、分娩時間が長びくことで促進剤の使用や吸引分娩が増えることなどが指摘されていますが、むしろリラックスすることで子宮の収縮が効果的に現れ、分娩の進行がスムーズであることはしばしば経験することです。処置による新生児への直接的な影響や帝王切開への移行率は自然分娩と変わらないことが証明されていますし、産後の授乳などは通常の分娩の場合と一緒です。

欧米では妊産婦の6~8割が無痛分娩を選択するそうですが、日本では専門の麻酔医が少なく無痛分娩を選べる産院が少ない状況です。出産は女性にとって重要な経験ですので、痛みを実感する出産も、リラックスしての出産も自分の望むとおりにしたいですよね。一日も早く分娩スタイルを自由に選択できる日が来てほしいと思います。

(2010.7.14)

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