市民のみなさまへ

新潟市医師会

ビジネスクラスとエコノミークラス症候群

鈴木 正孝

2002ワールドカップサッカーKorea-Japan大会、突然なアクシデントに見舞われ出場するチャンスを逸した選手がいました。日本代表候補の高原直泰選手は大会前のポーランド遠征の帰りに「エコノミークラス症候群」となり、泣く泣くTV観戦? を強いられました。

海外旅行の機内で長時間同じ姿勢を続けていると、下肢の血行が低下し深部の静脈に血栓と言って血の塊が出来ることがあります。長旅の後、空港へ到着し席を立ち歩き始めると筋肉の収縮と血行の改善により、血栓が静脈の中を流され肺にまで達することがあります。大きな塊が肺動脈に詰まれば、呼吸不全となり瞬時に心臓が停止することもあります。これを「肺動脈血栓症」と言いますが、特に機内ではエコノミークラスからの発症が多く「エコノミークラス症候群」と呼ばれるようになりました。しかしバスや列車などの旅行者からの発症もあり、医療の場では「旅行者血栓症」とも呼ばれています。

要因としては、狭い機内といった環境的な事や発症した人たちが元々血栓を作りやすい体質や病気を持っていた事があげられます。例えば下肢静脈瘤、深部静脈血栓症、下肢の手術をした人、太っている人、凝固異常の病気を持っている人、経口避妊薬を常用している人などは血栓を作りやすく注意が必要です。

予防としては手足を動かす事や時々歩き回る事も良いようです。トイレへ行くのを億劫がらず水分は普段より多めに取りましょう。機内は思いの外乾燥しており、血液も濃くなりやすく血栓も出来やすくなります。またアルコールは利尿作用があり脱水を助長します。飲み過ぎに注意しましょう。

「エコノミークラス症候群」、エコノミークラスや飛行機だけの病気ではありません。現に高原選手はエコノミークラスよりゆったりしたビジネスクラスに乗っていたそうです。それに機内だけの病気でも無いようです。「秋の行楽シーズン」前述の病気をお持ちの方、バスや自動車で遠出の際もお気をつけて楽しい旅をお送り下さい。

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