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新潟市医師会

糖尿病と動脈硬化症―「代謝症候群」について―

谷 長行

糖尿病(境界型を含む)は狭心症・心筋梗塞など冠動脈硬化症の最大の危険因子で、冠動脈硬化症の発症率を約3倍に増加させます。この他、冠動脈硬化症の危険因子として、「肥満」「高血圧症」「高コレステロール血症」「高脂血症(中性脂肪高値)」「低HDLコレステール血症」「日常的喫煙(1本でも)」「加齢(男45歳、女55歳以上)」「家族歴」「精神的・肉体的ストレス」があげられ、危険因子の数が増えると発症率が相乗的に上昇することが知られています。これらは一見別々に見えますが、糖尿病などでは同時に複数の危険因子が合併しやすいことが以前から気付かれていました。

80年代後半以降、糖尿病や、その原因としてのインスリン抵抗性(インスリンがききにくく血糖が下がりにくい状態)や肥満が根源にあり、高血圧症やコレステロール・中性脂肪などの脂質代謝異常が関連して発症する、との概念が提唱されました(「死の四重奏」「シンドロームX」「インスリン抵抗性症候群」「内臓脂肪症候群」など)。WHOは2001年にこれらをまとめて、「代謝症候群」の概念と診断基準を提唱しました。即ち、糖尿病(境界型を含む)やインスリン抵抗性があり、更に(1)高血圧症、(2)腹部肥満(日本人男性でウエスト85cm以上、女性90cm以上)、(3)脂質代謝異常(中性脂肪150mg/dl以上、HDL-C40mg/dl未満)、(4)尿中微量アルブミン、の2項目以上ある場合が該当し、危険因子の集積した状態と判断されます。

現在、本邦では糖負荷試験で40歳以上の男性の60%、女性の40%が異常(糖尿病型あるいは境界型)と判定されます。この場合、食事療法や運動など生活習慣の改善に努め、肥満者・過体重者では7%の減量が必要です。また喫煙者では禁煙の励行も必要です。

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