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新潟市医師会

ヘリコバクター・ピロリと胃潰瘍・胃癌

月岡 恵

(中央区 新潟市民病院)

胃の中に棲む細菌ヘリコバクター・ピロリ(以下、ピロリ菌と略します)が話題になり始めてから久しくなります。最近では、胃腸以外の様々な病気(例えば、血小板減少性紫斑病や慢性蕁麻疹、虚血性心疾患など)にもピロリ菌が関係しているのではないかともいわれてきていますが、ここではピロリ菌と胃・十二指腸潰瘍および胃癌との関連についてご説明します。

十五年ほど前までは胃・十二指腸潰瘍は再発を起こしやすいやっかいな病気でした。しかし、ピロリ菌が発見され、治療によって菌を退治すること(除菌)ができるようになってからは、胃・十二指腸潰瘍の再発は激減しました。三種類の薬をわずか一週間服用するだけで、ピロリ菌の除菌成功率は8~9割に達します。そのお陰で、以前のように難治性潰瘍のためや再発予防のために抗潰瘍薬を長期間のみ続ける必要がなくなりました。ピロリ菌の検査は内視鏡検査を受けずにできる簡単な方法もあります。胃潰瘍や十二指腸潰瘍の方でピロリ菌が陽性の方は、除菌治療を受けられることを強くお勧めします。

次にピロリ菌と胃癌の関連について、現在までにわかっていることを簡単にご紹介します。ピロリ菌感染者は感染のない者に比べて胃癌になりやすいことはほぼ間違いがないようです。それでは、ピロリ菌感染者に除菌治療を行うことによって胃癌を防ぐことができるのでしょうか。実はこの点はまだ明らかになっていません。ピロリ菌に感染してから時間が経過した場合には、除菌を行っても胃癌の発生を食い止めることができないのではないかとも言われているのです。

このようなことから、現在はまだピロリ菌除菌療法の保険適応は胃潰瘍・十二指腸潰瘍に限られており、胃癌の予防のための除菌療法は一般的には行われていないのです。

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