市民のみなさまへ

新潟市医師会

慢性腎臓病(chronic kidney disease,CKD)をご存知ですか?

丸山 弘樹

(中央区 新潟大学大学院医歯学総合研究科  

腎医学医療センター寄附講座)

CKDは、自覚症状がないまま腎臓の働きが徐々に低下する病気です。糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病や慢性腎炎が原因です。日本には約1300万人のCKD患者がいると推定されています。CKDは、心血管疾患を発症するリスクになりますし、進行すると透析医療(腹膜透析、血液透析)あるいは腎移植が必要になります。

腎臓の代表的な働きは、血液中にある老廃物など(ごみ)を尿として捨てることです。家庭生活でのごみ出しになぞらえて、腎臓の働きを考えてみましょう。皆さんは、ごみと必要なもの(宝物)と分別して捨てているはずです。さらに、こまめに捨てて、貯まらないようにしていると思います。

血液中では血球や蛋白などの宝物とごみが混ざっています。腎臓は、これらを分別してごみを捨てています。それも、ごみが身体に貯まらないように、大きな速度でごみを処理しています。腎臓(糸球体)では血液をろ過して、毎日約150Lもの原尿を作っています。原尿の水分のほとんどが腎臓(尿細管)で吸収されて、体外に捨てられるのは約1.5Lに抑えられます。

腎臓の代表的な働きであるごみ捨ての状況を調べれば、自覚症状がないCKDを早期に発見できます。

「腎臓が宝物まで尿として捨てていないか?」尿検査で、ごみの分別能を調べます。尿中に蛋白、赤血球を捨てている状態(蛋白尿、血尿)は異常です。

「身体にごみを貯めていないか?」血液検査で、ごみの代表としてクレアチニンの濃度を測定します。クレアチニン値、性別、年齢の3つの情報から、腎臓のごみ処理能である推算糸球体ろ過率を簡単に算出できます。これが低下していれば、腎臓が本来の調子にないことが分かります。

かかりつけ医を受診すれば、これらの尿検査、血液検査を受けられます。自覚症状がない早期のCKDを発見するコツは、自分の腎臓に目を向けて、医療機関を受診して検査を受けることです。CKDでは、かかりつけ医と腎臓専門医との医療連携を活用して、CKDの進行度に応じた治療を受けることが大切です。身体のごみを捨てる腎臓の働きを保って、明るく楽しい人生を送られることを祈っております。

(2009.5.29)

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