市民のみなさまへ

新潟市医師会

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

大平 徹郎

(国立病院機構西新潟中央病院 呼吸器内科)

2003年春に報道された山陽新幹線の居眠り運転。原因が運転士の睡眠時無呼吸症候群とわかり、その病名が日本中に知れわたりました。Sleep(睡眠)Apnea(無呼吸)Syndrome(症候群)の頭文字をとってSASとも呼ばれます。

SASの人は、ほとんどがメタボ体型の太った中年男性で、睡眠中の大きないびきやくり返し息のとまる現象(無呼吸)が特徴です。寝ている間のことなので、本人は気づきません。もしも家族や親しい人から「大きないびきをかいて、息が何度もとまっていますよ」と言われたら、次の(1)から(5)をチェックしてください。代表的なSASの自覚症状です。(1)他の人と比べて昼間の眠気が強い(特に会議中や車の運転中でも眠い)、(2)何時間寝ても熟睡感がなく寝不足、(3)朝、目覚めた時に頭が重い/痛い、(4)夜中に2回以上トイレに行く、(5)寝相が悪い。

いびきや無呼吸は、医学的に昼間の眠気や睡眠不足と密接に関連しています。SASが引き起こす日中のがまんできない眠気は、新幹線だけでなく、あなたや身近な人の日常生活、仕事の大きな妨げになっている恐れがあるのです。

自分はSASかもしれないと感じる方は、ぜひお近くの医療機関を受診しましょう。自宅でできる簡単な検査の結果、精密検査が必要と判定されたら、病院に1泊入院して、睡眠中の呼吸状態や眠りの深さを調べます。睡眠ポリグラフィーという名の精密検査です。県内各地の10を越える病院で受けられます。この10年間に新潟県内で1万人以上が精密検査を受け、ご自分に適した治療を始めた方は数千人にのぼります。

SASのリスクは眠気だけではありません。心臓や血管系の病気を合併しやすいことも重大な問題です。特に重症のSASの方が適切な治療をしなかった場合、命に関わる心臓血管系合併症のために、寿命を縮める危険があると警告されています。また、薬を服用しても血圧の下がらない高血圧の方は、SASの可能性がないか注意してください。難治性高血圧の原因の1つがSASだからです。

なお、SASは肥満者だけの病気ではありません。顔の骨格的に顎が小さめの方は、SASになりやすいといわれています。先に述べた症状があれば、たとえ太っていなくともSASを疑うことが大切です。

(2010.5.14)

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