市民のみなさまへ

新潟市医師会

科学の進歩と医学の進歩

祖父江 邦子

(江南区 祖父江眼科医院)

日々進歩している医療は、医学そのものが進歩している為である事は言うまでもありませんが、医学以外の科学の進歩があって初めて実現出来た事です。眼疾患で例を挙げれば、白内障の手術は私が眼科医になった頃は濁った水晶体全体を角膜の境目を大きく切って引っ張り出す術式でした。手術後はゴーグルの様な物で目を保護し、1週間も寝たきり。おまけにその後は確かに見えるようにはなっても、度の強いメガネをかけねばならず、また見え方も不自然な為、患者様にはご苦労をおかけしたものです。現在は超音波を発生するチィップを2ミリ程の切開創から眼内に挿入し水晶体の濁りを破壊し吸引します。続いてその小さい切り口から眼内レンズを挿入しますので、術後はすぐ起きられますし、自然でクリアーな見え方になります。この様な手術が出来るのも科学の進歩の結果です。更に現在は遠くも近くも見える夢の眼内レンズが実用化されています。そんな訳で今では白内障はほぼ克服されたと言えるでしょう。(最高の克服は白内障にならないようにすることですが、之は年を取らない方法と同じで、神の領域と考えます。)

変わって、近年失明原因としてトップに躍り出た緑内障、更に高齢化及び生活習慣の変化で増えてきた加齢黄斑変性症、これらが眼科的には今後益々脅威となる疾患です。いずれもまだ治療が難しく、決め手は早期発見早期治療と言われます。近年これら疾患の初期の診断に威力を発揮する先端医療機器が実用化されました。OCT(網膜の光干渉断層撮影装置)です。これは5ミクロンの解像力で生体網膜(視神経)を細胞レベルの3次元立体構造で瞬時に解析してくれる装置です。目の覚めるような映像で診断に威力を発揮します。

こういった科学技術に支えられ医学も進歩している事を実感させられる毎日ですが、一方で私共はそれらに頼るだけでなく、ヒトを相手にさせてもらっていることを忘れず、学問で培った知識、今までの経験を駆使し、総合力で診療にあたりたいと考えております。

(2008.9.5)

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