市民のみなさまへ

新潟市医師会

「年のせい」と言われても

八木澤 克則

(西区 やぎさわクリニック)

整形外科に限らず、医者に診てもらった際、「年のせいですからね」と言われたことがある方が皆さんの中にはいらっしゃるのではないでしょうか?「年のせい」と言われると、「どうしようもないのでがまんしなさい」と言われたと勘違いをして、あきらめて治療をしない方も多いのではないでしょうか。しかし「年のせい」と言われることは、少なくとも整形外科ではむしろ良いことで、残念なことでも、何も治療法がないわけでもありません。考えてみてください。医者に診てもらうのは、どこか体の調子が悪いからで、もしかしたら重大な病気がみつかるかもしれません。それなのにただの「年のせい」だったのです。しかも、それ以上進行を防ぐそれなりの治療法もあるのですから、絶望するようなことはないのです。しかし勘違いしてあきらめてしまうと、どんどん進行して「年のせい」と言ってはいられなくなります。たとえば、整形外科で多い「年のせい」の疾患には、変形性膝関節症、変形性腰椎症、骨粗しょう症などがありますが、初期の症状は軽い痛みなどだけです。しかし進行すると、変形性膝関節症の場合は、膝関節の軟骨がどんどんすり減って、痛みも強くなり動きも悪くなり曲がってしまい、歩行が困難になります。変形性腰椎症の場合には、腰の神経が圧迫されて下肢がしびれたり動かなくなったりすることもあります。骨粗しょう症の場合には、骨がもろくなるので、背骨の圧迫骨折や足の付け根の骨が折れる大腿骨頚部骨折などを起こして寝たきりになる人もでてきます。このようにならないように早めに治療することが必要となってくるのです。

現在の高齢化社会では、平均寿命は延びましたが、ある程度長く生きていれば誰でも体のどこかがいたんでくるものです。一生首や腰や関節の痛みを経験せずにすむ人は皆無に近いと言えるでしょう。そういうときがきた時に、「年のせい」だからとあきらめずに、もう一度自分の体を見つめ直して、それ以上体が老化していくのを少しでも防ぐように心がけることが大切なことではないでしょうか。若返ることはできませんが、運動療法などのリハビリテーションをすることで、それ以上体が衰えていくのを防ぐこともできます。薬で弱った骨を丈夫にすることもできますし、痛みなどの症状をやわらげることもできますので、適切な治療法があるか医師とよく相談することをおすすめします。

(2008.1.28)

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