市民のみなさまへ

新潟市医師会

メニエール病

渡辺 一道

(西蒲区 耳鼻咽喉科 渡辺医院)

内耳が原因で起こるめまいで最も多いものは良性発作性頭位めまい症といわれています。しかし病名として最も有名なものは「メニエール病」だと思います。

メニエール病は、1861年にフランス人医師メニエールにより初めて症例が報告され、以後その病名がつきました。日本では1971年に厚生省より難病指定を受け、研究班による診断基準がつくられました。さらにその後約40年にわたる研究の末、2011年度には新たな診療ガイドラインができました。

病気の原因は内リンパ水腫(内耳の中の水膨れ)であり、典型的な症状は難聴、耳鳴りなどを伴う反復するめまいです。家庭、職場環境の変化、ストレスが発作に影響することもあります。診断には問診(病気の経過や状況)の他に、聴力検査、平衡機能検査に加え、中枢(頭の中)の障害を除くための画像検査などが必要になります。

めまいの性状は回転するようなめまいで、10分程度から数時間まで 持続するものが多く、めまいに伴い吐き気、嘔吐を生じるため、めまい疾患の中でも重症といえます。回転性めまいは内耳からの情報とそれを受け止める脳との間に不具合が生じ、実際に身体が回ってないのに、頭が回転しているように誤解してしまうために起こる症状です。内耳に特徴的ですが 、不具合の個所は内耳から始まり、脳の中まで多岐にわたります。

画家のフィンセント・ファン・ゴッホは晩年精神疾患のため 入院、自殺したといわれておりますが、実は精神疾患ではなくメニエール病に悩んでいたという説があります。彼の作品「星月夜」では夜空の中に渦巻く暗雲が書き込まれており、これは回転性めまい症状の表現であり、また、「耳を切った自画像」は耳鳴りや難聴に苦しんだ結果ではないかとも考えられています。

メニエール病は研究班の調査で、人口10万人あたり35~48人程度と非常に高い有病率が推定されており、先の難聴、耳鳴りに伴うめまいを繰り返しておられる方だけでなく、めまい、または難聴だけを繰り返す場合も非定形メニエール病の可能性があります。気になる症状がある方は耳鼻咽喉科専門医の受診をお勧めいたします。

(2011.7.1)

©2013 Medical Association of Niigata City.