市民のみなさまへ

新潟市医師会

麻疹撲滅運動について

麻疹の予防接種は1歳過ぎたらなるべくはやく

庄司 義興

日本では、ワクチン接種が行われるようになってから以前ほどの大流行はなくなりました。それ故、最近では身近に麻疹の患者がいないため、麻疹が重い病気だということを知っている人が少なくなってきています。予防接種が施行されているにもかかわらず、接種率が低いがため、年間数万から数十万人がかかっているとみられ、毎年50人から100人の子どもが死亡しています。また世界の開発途上国を中心に1年間に約80万人が死亡しています。「だれでも一度はかかる」とか「自然にかかった方が良い」といった誤解があるためか予防接種を受けない人もいて問題です。そこで、小児科医の集まりが、麻疹撲滅に関する要望書を政府に提出して働きかけをしました。

麻疹の予防接種率向上と麻疹撲滅に関する要望書

わが国においては1978年から小児への麻疹予防接種の導入を開始したにもかかわらず、いまだに小中規模の地域的流行が繰り返されております。その流行の中心は予防接種を受けていない1歳代、6~12カ月の乳児であり、2歳以降の年齢層でも予防接種を受けていない幼児、学童、さらに成人までもが罹患し、2000年のサーベイランスによれば、その総数は10万人から20万人にのぼると推計されております。また年間で肺炎4,800例、脳炎55例、死亡88例が発生しているとの推計もあります。

各地からの報告では、罹患者の95.1%が予防接種未接種であり、この流行の実態は接種率の低さに因るものと考えます。わが国の麻疹予防接種率は地域によって差はあるものの76%~80%と推定されております。現在まで小児科医、保健婦らが接種率向上のため努力をいたしてまいりましたが、これ以上の接種率の向上は現状のままでは困難と考えられ、国の政策の強化が必要と考えます。(一部略)

日本ではいまだに1年に数万人単位で麻疹患者がいますが、一方アメリカでは1998年の麻疹患者は、前年より38例減ってわずか100例です。このうち26例が輸入症例で、14例は外国人(うちインド、日本、ケニア、パキスタン、サウジアラビアが各2例)、12人は海外で感染した米国人でした。輸入症例は、1983年の集計開始以来最低で、また、74例の国内発病例中、45例が輸入症例関連事例で、そのうち32例は日本の4歳児が持ち込んだ麻疹によるアラスカの集団発生例とのことです。

麻疹に関しては日本が「麻疹輸出国」として、世界から問題にされていることを皆さんは知っていますか? アメリカでは就学時に未接種児童は入学できないシステムを取っており、麻疹発生が激減しました。これは、重症化する1歳未満の乳児を守るための仕組みでもあるのです。日本でも同じように、麻疹の予防接種をしていない場合は保育園や幼稚園、小学校に入学できないシステムを作る必要があると考えられます。そのくらいしないと麻疹撲滅は不可能です。とにかく1歳すぎたら麻疹の予防接種を。

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