市民のみなさまへ

新潟市医師会

児童生徒への喫煙防止指導は中学生からでは遅い!!

佐藤 勇

喫煙に関する米国の報告では、喫煙者の平均寿命は非喫煙者にくらべて、男性で13.2年、女性で14.5年短いと言われています。喫煙は全身臓器に悪影響を及ぼしますが、成人にくらべ未成年者により強くあらわれ、喫煙開始年齢が低いほど、将来癌や心臓病で死亡する危険率が高くなります。問題なのは、喫煙開始年齢が低いほどニコチン依存が強く、禁煙が困難になることです。我が国では小学校低学年から喫煙経験者がみられ、中学1年生ですでに20%が喫煙経験者で、高校3年では55.7%になり、毎日喫煙する高校生が25.9%に達していると言われています。けっして一部の非行少年でなく、「普通の」子どもたちが吸っている状況です。子どもたちは幼い頃から、身近なおとなが喫煙する姿を見ながら育つため、喫煙を「自然な習慣」と受け止めやすいと言えます。こどもが受動喫煙にさらされると、乳幼児突然死症候群、気管支喘息、さらに反復性中耳炎の危険因子となります。こどもの目の前では吸わないようにすることは、受動喫煙をふせぎ、喫煙を自然な習慣と思わせないためにも必要でしょう。こどもに対しては、将来の発癌の危険性よりも、喫煙行動がけっして格好の良いことではないこと教えてゆくことが大切でしょう。ただし、「喫煙は20歳を過ぎてから」は逆効果です。早く大人の気分を味わってみたいこどもには、魅力的に響くからです。

今年日本学校保健学会では「<タバコのない学校>推進プロジェクト」を立ち上げました。学校や公共施設での禁煙を徹底すれば、未成年者の喫煙率は低下すると言われています。子どもたちを取り巻く大人達の取り組みが、重要といえるでしょう。筆者も、かっては喫煙者でした。こどもに諭されて禁煙した情けない医者です。こどもへの借りを何とか返さなくてはなりません。小学生からの禁煙指導、決しては早すぎるとは言えないでしょう。

参考文献:加治正行 児童生徒への喫煙防止指導 小児内科 Vol.34 No8

©2013 Medical Association of Niigata City.