市民のみなさまへ

新潟市医師会

小児の気管支喘息のお話 特に予防の重要性について

阿部 時也

近年、全国的に(というより、世界的に)喘息にかかっている人が増えている、と言う事は新聞などでも広く報道されているので、よくご存知と思います。統計により少し違いますが、全小児のおよそ5%が喘息にかかっているといわれています。これは20人に1人ですから、小中学校でも、1クラスに1~2人の喘息の児がいると言う事になります。したがって、この頁をお読みの方の中にも、喘息の子供をお持ちの方も多いと思います。

同じく、気管支喘息といっても、大人と子供では大分様子が違います。それは、子供の喘息の多くはよくなると言う事です。よくなるというのは、治癒すると言う事とは少し違って、医学的には寛解するといいます。これは、体質的には残っているので、治ったとは言わないけれど、発作のない良い状態にある、という意味です。私達小児科医の喘息治療の最終目標は、喘息児達をこの寛解に導く、と言う事にあります。学会の基準では、2年間(最近では5年間とした方がよいとの意見もありますが)発作のない状態が続いたときに、寛解と言う事になっています。では、どうしたら、寛解が得られるでしょうか?

喘息の治療には大きく分けて、発作を鎮める治療と発作を起こさないようにする予防的治療があります。ここでは、字数に制限があるので、後者についてお話します。どんな病気でも、罹ってから治すよりも罹らないようにするのがよいに決まっていますが、特に喘息ではそうなのです。何故なら、喘息の発作は起きると、治まった後に、また起き易い状態が続くからです。医学的に言うと発作後は気道過敏性(気道が敏感である状態)が亢進して、普段よりも軽い刺激で発作を起こしてしまうのです。

喘息発作を引き起こすきっかけを誘因といいますが、これには、アレルギー、感染(風邪など)、物理的刺激(煙など)、運動、心因(ストレスなど)、疲労、気象条件(台風など)、過換気(大笑い、大泣きなど)、その他多くのものがあります。これらの重要度に順番はつけられず、よく観察していると、その子供にとって最も悪さをしている要因が見つかってきます。勿論それは1つとは限らず、複数が関与していることが大半です。そして、それらの要因を避けたり、取り除いたりすることが予防にとても重要です。

今一つ予防に重要なことは、予防的薬物治療です。多くの人が発作時に薬を飲んだり、吸入したりすることに抵抗を感じないようですが、発作のない期間にも、内服や吸入を続けることには抵抗を感じる人もいます。また、発作もないのに、何故薬を続ける必要があるのだ、という疑問もよく理解できます。しかし、予防的薬物治療を続けてでも、発作のない期間を長く維持してやることが、結局は早い寛解に繋がるのです。副作用等に不安のある方は主治医の先生とよく相談して、どうか予防に心を砕いてください。最後に一言。「予防に勝る予防はない。」

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