市民のみなさまへ

新潟市医師会

2歳までテレビを消してみませんか?

佐藤 勇

最近、子どもたちの中で、「言葉が遅い」「表情がない」「呼んでも振り向かない」「視線が合わない」「じっとしていない」など、人とうまく関われないこどもが目立っています。こういった背景に、授乳時などのテレビ視聴時間の増加や、育児ビデオなどの流布など、いわゆる乳幼児期におけるメディア漬けの状態が指摘されています。

アメリカ小児科学会では、子どもの健全な発育のためには、二歳未満の子どもはテレビ画面への接触を避ける、六歳までは一時間、以降は二時間までに制限することが必要であると提言しています。目的とするのは、乳幼児期のテレビ画面への接触により削ぎ落とされる「親子のコミュニケーション」を取り戻すことです。

発達のもっとも大切な時期に、母親とのコミュニケーションではなく、育児ビデオなどのメディアによる一方通行の刺激が脳の発達にどう影響するのかが問題だと思います。今の小学生に「死んだ人は生き返るか?」と聞くと、3割は生き返ると答え、3割が「わからない」と答え、残りのわずか3割たらずが「生き返らない」と答えるのです。佐世保の小学生殺人事件などは、「死ぬ」ということにたいする誤ったイメージから生じているのではないかと思われるのです。あるチャンネルで死んだ人がほかのチャンネルで食事をしている。テレビゲームで何度となく死んでは生き返る、こういったイメージを、現実と非現実のボーダーのはっきりしない幼児期に、繰り返し見させられてくると、その結果はどうなるでしょうか。

テレビ漬けの害には二つの側面があります。一つは、テレビなどの刺激による脳の直接的発達障害の可能性であり、もう一つは、絵本など母と子のお互いのコミュニケーションを必要とする時間の剥奪です。

多くのお母さんお父さんが、すでにテレビ世代です。家に帰るとテレビをつけ、寝るときに電気と一緒にテレビを消します。テレビのない生活なんて考えられません。テレビを消すことに不安感が生じますが、やってみると以外と簡単です。子どもは順応性にたけていて、テレビが無くても、それなりに遊んでしまいます。また、夫婦の会話が増えるという意外な側面や、家の中の気づかなかった音におどろいたり、いろんな発見があります。

授乳時間をテレビに奪われず、赤ちゃんとの会話に費やしましょう。食事の時に、みんなで同じ方向をみるのではなく、お互いの目を見合って会話しながら楽しみましょう! 豊かな家族のコミュニケーションを作り出すために、テレビを消してみませんか? 子供が生まれ、家族が増えるときは、生活を変えるいいチャンスですよ。

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