市民のみなさまへ

新潟市医師会

乳児期の尿路感染症

大久保 総一朗

(西区 済生会新潟第二病院 小児科)

尿路感染症(おしっこのなかにばい菌が入り込んでおこる病気)の代表的なものには膀胱炎と腎臓にまで感染が及ぶ腎盂腎炎がありますが、乳児期(1歳未満、特に生後6ヶ月未満)におこる尿路感染症、特に腎盂腎炎は腎臓と尿路(おしっこの通り道)に生まれつきの異常を伴っていることが少なくないため注意が必要です。小さな子供は症状を訴えることができず、また尿検査も簡単にはできないため診断が遅れがちになります。発熱、ミルクの飲みが悪い、元気がないなどが症状の中心になり、原因のはっ きりしない乳幼児の発熱の5%が尿路感染症とされています。

左右の腎臓で作られた尿は尿管という管を通り膀胱へたどり着きます。膀胱内の尿は尿道を通って外に出てきます。尿管と膀胱のつなぎ目には弁のはたらきがあり、膀胱内にたまった尿は尿管へ逆流することはありませんが、生まれつきこの弁のはたらきが悪かったり、生後しばらくは弁の機能が未熟であるため特に排尿時に逆流(膀胱尿管逆流)が起こり、これが尿路感染の原因になることがあります。

生後6ヶ月未満の腎盂腎炎では30-40%に膀胱尿管逆流を認めます。手術を考えるほどの高度の逆流は10%前後といわれます。このような場合には尿路感染の再発頻度も高く、繰り返す尿路感染は腎臓機能の障害につながります。したがって乳児期、特に生後6ヶ月未満におこった尿路感染症は正確に診断し、膀胱尿管逆流の有無を評価し、抗生物質を予防内服することによって再発をおこさないようにすることが必要になります。

しかし軽度の膀胱尿管逆流の多くは成長とともに消失し、また年長になるにつれ軽度の逆流があっても尿路感染を起こしにくくなるため、いずれ予防内服は中止できることが多いのです。乳幼児が明らかな風邪症状を伴わない発熱を繰り返す場合には尿路感染症を除外する必要があります。尿路感染症を考えた場合には、発熱に対して抗生物質を使用する前に尿検査を行うことが重要です。また痛みを伴わない超音波検査(エコー)で腎臓や尿路を観察することは、明らかな腎臓・尿路異常の発見のためにとても便利な方法です。

(2008.4.4)

©2013 Medical Association of Niigata City.