市民のみなさまへ

新潟市医師会

小児期の鉄欠乏性貧血の予防

小川 淳

(新潟県立がんセンター新潟病院 小児科)

子供に見られる貧血(血液が薄くなった状態)で最も多いのは鉄欠乏性貧血です。鉄不足による赤血球中のヘモグロビン合成障害が原因です。成長の著しい乳児期と思春期には食物からの鉄摂取を心がけて貧血を予防することが大切です、ただし疲れ易いなどの貧血症状を認める場合や母乳栄養の早期産児の貧血等は鉄剤による治療が必要となります。

テレビ番組で取り上げられると納豆やトマトジュースが店頭から姿を消すなど、食事と健康の関係に注意を払っている方は大勢いらっしゃると思います。しかし鉄摂取について正確な知識をお持ちの方は意外と少ないようですのでここでまとめてみたいと思います。まず鉄分の多い食品はレバー、あさりなどの貝類、いわし、魚の血合い、ひじきや海苔などの海藻、ゴマ、パセリ、豆類などがあります。ここからが大切なところですが肉類、魚貝に多い鉄分(ヘム鉄といいます)は腸からの吸収が比較的良いのですが植物に含まれる鉄分(非ヘム鉄)は体内への吸収があまり良くありません。非ヘム鉄を効率よく取り込むためにはビタミンCやタンパク質(特にヘム鉄を含む食品)の同時摂取が有効です。ビタミンCの豊富な食品といえばイチゴ、アセロラ、柑橘類、ほうれん草、ブロッコリにじゃがいもです。逆にお茶のタンニン成分や小麦ふすま(ブラン)は鉄の吸収を妨げるので、摂取しすぎは注意が必要です。また牛乳も一日400ml以上摂取しないよう気をつけましょう。

最後に印象的な数字を一つ、月経のある10歳から14歳の女子が一日に必要とする鉄の摂取量は13.5-14mgとされています。しかし日本人女性の平均一日鉄摂取量は7.3mgです。月経のない同年代の女子や男子も程度の差こそあれ同様の傾向があります。つまりお父さんやお母さんと同じ食事内容では思春期のお子さんの場合鉄欠乏状態になります。かなり積極的に鉄分を多く含む食事を取る必要がある訳です。お解りいただけたでしょうか。

(2012.4.11)

      
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