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新潟市医師会

社会不安障害(SAD)ってどんな病気?

高橋 邦明

人前で話をするのが苦手とか初対面の人に会う・話をするのが苦手というのは、大なり小なり誰にでもある感情でしょう。しかしそのために人前に出られなくなるほどになると、それは一種の病気です。

対人、社交の場面で「恥ずかしい思いをする」ことに対して、強い恐怖や不安を感じ、しかもそのために学校や会社に行けないなどの回避行動が現れて日常生活に支障をきたす場合、社会不安障害(SAD)という心の病気である可能性があります。

恐怖や強い不安を感じると、気持ちや行動ばかりでなく、さまざまな身体症状があらわれます。例えば、顔が赤くなる、汗をかく、頭が真っ白になる、めまいがする、手足が震える、動悸がする、声が震える、口が渇く、息苦しくなる、食事がのどを通らない、吐き気がする、胃腸の不快感、頻尿あるいは尿が出ないなどです。

これは単なる「内気」や「恥ずかしがりや」という性格の問題ではありません。大勢の前でのあいさつや発表の場面で、緊張していることをふと自覚したことなどをきっかけに発生する病気です。それまでは平気だったのに、きっかけ以来急に緊張するようになり、じっと耐えるか、そういう場面を過度に避けるようになるのです。それまでなかったことがある時期から急に発現している点が、性格ではなくて病気であることを物語っています。

なぜSADになるのでしょうか。詳しいことはまだ解明されていませんが、脳神経の中にある神経伝達物質であるセロトニンやドパミンなどのバランスが崩れ、神経が過敏な状態になることと関連があるといわれています。

ですからSADには脳内のセロトニンを安定させるための薬物治療が有効です。また、恐怖や不安を感じる状況を避けようとする回避行動を減らすために、認知行動療法という心理療法を併用してゆくのが一般的な治療法です。SADは治療可能な病気なのです。

SAD : Social Anxiety Disorder

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