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新潟市医師会

境界性パーソナリティ障害

川嶋 義章

(南浜病院 精神科)

日々起こるさまざまな出来事に対する感じ方や受け取り方、反応の仕方には、人それぞれ特有の偏りや「クセ」があります。そのような偏りや「クセ」が、その人らしさ(パーソナリティ)を特徴づけます。そのような偏りや「クセ」が極端であるために、周囲の人との関係を維持できず、不適応のパターンが持続する状態を、パーソナリティ障害と呼びます。様々な支援により、不適応パターンが解消されれば、パーソナリティ障害も回復したと考えられます。一生治らない障害ではありません。

パーソナリティ障害には、さらに様々な類型があります。その中で、精神科で最も多く診断される類型が、境界性パーソナリティ障害です。これは、些細なきっかけから「見捨てられた」という不安を抱きやすく、相手に激しい怒りをぶつけたり、逆に自己嫌悪から自傷行為(手首自傷や大量服薬など)を繰り返したりする障害です。また気分も不安定で、自己像も揺れやすく、周囲の人と安定的な人間関係を築きにくくなる特徴があります。

境界性パーソナリティ障害の人と関わる人は、これらの不適応行動に振り回され易いのですが、それらは障害のせいで起こったことであり、本人も苦しんでいることを理解し、感情的にならないことが重要です。そのためにも本人と治療者、周囲の人とで協力体制を築くことが大切です。時には自殺の危険性が高まることもありますが、その場合は入院も必要となる旨を、本人を含めて事前に話し合っておくとよいでしょう。治療者は、不適応行動のきっかけや背景にある心理について本人と話し合い、具体的な解決策・対処法を考えていきます。本人が、自分自身の心の「クセ」と上手く付き合えるようになれること、自立といった本人の課題に取り組んでいけること、が最終的な治療目標となります。障害からの回復には、長い年月がかかることも多いのですが、周囲の人は、ほどよい距離を保ちながら、見放さず、長い目で見て支え続けてもらえればと思います。そうできれば時間はかかっても必ず、本人は自分なりの生き方を見出し、障害を克服していきます。

(2013.2.15)

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