市民のみなさまへ

新潟市医師会

「カジノ法案」とギャンブル依存症(病的賭博)

加藤 佳彦

(江南区 かとう心療内科クリニック)

最近安倍内閣の新成長戦略として、日本にカジノを作ろうという「カジノ法案」が新聞テレビなどでも取沙汰されています。経済の活性化を目指すという目的のようですが、日本にはすでにギャンブルとしてパチンコ、競輪、スポーツ振興くじなどが存在しています。

今回こうしたギャンブルがもたらす負の側面、「ギャンブル依存症」についてお話したいと思います。ギャンブル依存症とは、自分で「ギャンブルをやめなければいけない」とわかっていても、実際にはやめられないという病気です。例えば、ギャンブルのために借金などの金銭的なトラブルを起こして家族に「もう二度とパチンコには行かない」と誓ったとしても、またパチンコに行き再び借金をこしらえてしまうといった状態です。

ちなみにギャンブル依存症の正式病名は「病的賭博」です。この賭博という病名(日本語訳名)のためか賭博をする人の特殊な病気だと考えられがちです。しかし、ギャンブル依存症は賭博に限ったことではなく、日本ではギャンブル依存症のほとんどの患者さんがパチンコによる依存症です。多くの市民が気軽にパチンコ店に行くことができるために、先進国の中でもギャンブル依存症の推定有病率は高く日本には約100~200万人の患者さんがいるといわれています。

また、一般的に病気だという認識が乏しく、専門的に治療を受けている患者さんは少数です。家族も病気としての認識がないために、たとえば念書をとったり、あとをつけて監視をしたりするなど不適切な対応をしている方がほとんどです。しかしこのような対応では、一時的にギャンブルを止めさせることはできても、すぐにまた元に戻ってしまいます。

「パチンコ、競馬などのギャンブルのために2回以上50万円以上の借金を作ったのにまだやめることができない」場合、一度専門医に相談した方がいいでしょう。

ところで当初より反対のあった「ゆとり教育」という教育政策が実行されましたが、いとも簡単に変更されています。新たなギャンブル依存症の患者さんを生みださないためにも、「カジノ法案」については国家100年の計を持って充分に議論し立案してほしいと思います。

(2014.2.25)

©2013 Medical Association of Niigata City.