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新潟市医師会

慢性的なストレスが動脈硬化におよぼす影響

瀬尾 弘志

多くの疾患が心理的要因によって発生したり、既存の疾患を増悪させたりすることが知られるようになり、なかでも慢性的に続くストレスが及ぼす影響は深刻です。以前から、ストレスと悪性腫瘍の関係や心筋梗塞への影響がいわれておりますが、今回は動脈硬化症への影響に注目してみましょう。

極端にストレスを貯めやすい性格の人は、特異な行動をとりやすくこれをA型行動パターン、この性格をA型性格といいます。ここでA型行動パターンの特徴を列挙してみます。

  1. 競争心が強い(漠然とした敵意)
  2. いつも時間に追われている感じがある(時間切迫感)
  3. たえず物事をなしとげる意欲をもつなど

一般に仕事中毒(ワーカー・ホーリック)といわれる人によく見受けられる特徴です。この傾向が強い方は、たまったストレスを上手に発散する術を知らないため、ストレスをためたまま飲酒や喫煙、あるいはさらに仕事をすることでストレスを発散しようとします。ともすれば、身体の変調を来たしてもそれを無視し、仕事上の目標を完結しようと努力し続け、半永久的にストレスがたまり続ける結果となります。このとき、体内では、次のような変化が起こっているでしょう。

ストレスが加わるとすぐに交感性副腎髄質活動が亢進することでカテコラミンの上昇が起こります。このホルモンは、心拍数の増加・血圧の上昇を即座に引き起こします。また、このホルモンの対インスリン拮抗作用による血糖値の上昇、肝臓での脂質合成の促進からコレステロール値の上昇、さらに血小板凝集能の亢進(血栓形成の促進)と言った反応が続きます。これらの反応は血管内皮に、血栓形成やコレステロール沈着を促し、動脈硬化を進行させるという結果になります。このように、半永久的にストレスをため続けることで動脈硬化を進行させ、結局は脳血管障害や虚血性心疾患を発症するまで、進行し続けるのです。

心理的な影響を強く受ける疾患の予防は、患者本人の症状に対する自覚が少ないこと、染みついた生活習慣であるため改善が困難であることなどから、医療機関だけの対処は困難です。むしろ、社会生活や家庭生活上での指導や注意が必要不可欠なものとなります。具体的には、家族や会社からの指摘やアドバイスが重要です。そして本人がA型性格であること(簡単な心理検査で判定できます)、動脈硬化度を評価してもらい(簡単に計測できます)、両者の関係を理解し納得することが不可欠です。

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