市民のみなさまへ

新潟市医師会

増え続ける乳がんから身を守るには

牧野 春彦

(中央区 新潟市民病院)

最近、乳がんの患者さんが非常に増えています。乳腺専門外来を持っている施設には患者さんが殺到して非常に混雑し、診察までの待ち時間、精密検査あるいは手術までの待機日数が非常に長くなっています。全国統計で見ても乳がんの年間患者数は1975年の約10000人が1999年には約36000人となり、最近では40000人を超えこの30年間で約4倍になりました。乳がんによる死亡者数も1955年には1572人だったのが2003年には9805人となり、最近は残念ながら10000人を超え50年間で約6.4倍になっています。このように患者数、死亡者数ともに増え続け猛威を振るっている乳がんですが、乳がんから身を守るにはどうすればいいのでしょうか。そのヒントは欧米にありました。欧米では日本よりはるかに乳がんの患者さんが多く、たとえば米国では女性は生涯に8人に1人が乳がんになるといわれており、乳がんの抑制は国家プロジェクトです。欧米でも乳がんの患者数、死亡者数は増え続けていたのですが、最近の2,3年では患者数は増えているにもかかわらず乳がん死亡は減っています。なぜでしょうか。その理由には手術、新薬の登場など治療法の進歩もありますが、一番大きなものはマンモグラフィ検診だと考えられています。マンモグラフィ検診により早期に見つかる乳がんの比率がどんどん増え乳がんで亡くなる人が減ってきたのです。しかし、乳がん死亡を減らすことは受診率(実際に検査を受けるべき人のうち何%の人が実際に検査を受けたか)が50%を超えないと達成できません。欧米ではホームレスやさまざまな人種がいるにもかかわらず受診率が60-70%という驚異的な数字を達成しています。そのことが乳がん死亡の減少に直結しています。ひるがえって日本ではどうでしょう。残念ながら受診率はまだ10%程度と推計されています。とても死亡率の減少には届きません。皆さん、特に女性の方は近所の友達、PTAの仲間を誘ってマンモグラフィ検診を受けましょう。

©2013 Medical Association of Niigata City.