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新潟市医師会

大腸がんと腹腔鏡下手術

須田 武保

(日本歯科大学医科病院 外科)

大腸は、小腸の次に続く消化管で、その長さは約1.5mで、結腸と直腸に分けられます。大腸の壁の内側に悪性の腫瘍ができる病気を総称して大腸がんと呼びます。

日本における大腸がんによる死亡率は、年々上昇しています。最近の集計(2007年)で大腸がんの死亡率をみると、男性では肺がん、胃がんに次いで第3位ですが、女性では胃がんを抑えて第1位になっています。また昭和30年に比べて半世紀でその死亡数はおよそ10倍になりました。食生活の欧米化、つまり動物性脂肪や蛋白質の摂取量増加が、日本における大腸がんの増加の原因ではないかと言われています。

大腸がんの治療法には、内視鏡的治療、手術療法、化学療法、放射線療法などがあります。これらの治療法の選択は大腸がんの広がり(進行度)、患者さんの全身状態などにより決定されますが、治療の基本は手術によるがんの切除です。

手術には、おなかを大きく切開する「開腹手術」と、小さな穴をおなかにいくつか開けて行う「腹腔鏡下手術」があります。どちらの方法も切除する腸管とリンパ節の範囲は同じです。腹腔鏡下手術ではおなかにあけた穴から、内視鏡の一種である腹腔鏡や手術器具を挿入します。その後、モニターを見ながら鉗子と呼ばれる専用器具を用いて病変部を切除します。腹腔鏡下手術の利点としては、傷が小さいので手術後の痛みが少なく回復も早く、退院や仕事復帰が早いこととされていましたが、この点に関して実際には開腹手術とあまり差がなくなってきています。最近では一番の利点は、手術をしてしばらく経った時に、傷が小さく美容的に美しいことであるとされています。欠点としては、手術時間が長くなることや、特殊な器具や専門技術が必要なので、行える医療機関が限られてくることです。

大腸がんでは50歳を過ぎたら、便潜血検査などを定期的に受け、早期発見に努めましょう。また不幸にも治療の必要な病変が発見されたなら、消化器内科・外科の専門医と治療方針についてよく相談し、早期に治療を開始することをおすすめします。

(2010.8.2)

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