市民のみなさまへ

新潟市医師会

だっちょー!のお話し

石崎 悦郎

(南区 石崎医院)

足の付け根に腫れ?何か変な病気?という心配で来院される患者さんが結構おられます。大抵はいわゆるだっちょー(脱腸)、ソケイヘルニアと言われるものです。これには2種類あり、ひとつはお子さんの生まれつきのもの、もうひとつは大人が年齢を重ねてお腹の壁が弱くなって穴のような状態になり、そこからお腹の中の物が出てくるタイプのものです。脱腸というくらいですから出てくる物は小腸がほとんどですが、中に腹膜の一部や大腸、あるいは女性の場合卵巣が出てくる場合があります。子供は生まれつきのもの、大人はお腹の壁が弱くなっておこるわけ で治療は大人も子供も原則として手術が必要です。腫れたところに10円玉などをあてて治そうとした、などという民間療法が昔はあったそうですが、これらは全く無効です。大人の場合の手術は、まずふくらんだ脱腸の袋(これは腹膜です)をしばるなど処理した後で、体の中に残っても差し支えのない材質で出来た膜のようなものを弱くなったお腹の壁に入れて補強をします。以前はこの補強材がなく、弱くなったところのまわりの筋肉の膜や筋を縫い合わせて補強しました。このために術後に安静を必要としたり、キズの周囲につっぱる感じが残ったりして大変でしたが、今はそのような苦労はなく手術のあと早期に動くことができます。キズの大きさは4cmくらいでしょうか。ちなみにお子さんの手術は腹膜の処理だけで終わります。また注意点として「かんとん」があります。漢字では「嵌頓」と書きます。これは出てきた物が戻れずにだんだん腫れてくる状態で痛みも出てきます。これが続くと小腸が出てきた場合は腸閉塞になったり、血液の流れが障害されて壊死(組織が死んでしまうこと)に陥り穴があいて腹膜炎になるなど重大な結果を招きます。ソケイヘルニアで嵌頓が疑われる時は至急外科の開業医か外科のある病院を受診して下さい。このように脱腸といっても場合によっては重大な危険を生じることがありますので、早めにかかりつけの医師に御相談下さい。

(2012.8.27)

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