市民のみなさまへ

新潟市医師会

就寝中の下腿筋肉硬直

上野 光夫

(江南区 うえの内科・外科クリニック)

未明~早朝に限って発症する、ふくらはぎ筋肉の痙攣・硬直を訴える患者さんが、潜在的に多数いると予想されます。

そもそも、これが病気なのかどうか分からず、何科の医師に相談すべきなのかもわからず、密かにしまいこんで、悩んでおられる潜在的患者さんが相当数いらっしゃるのではと感じています。

早朝だけの一過性の発症であり、しかも毎日出現するわけでもないので、ついつい後回しにされがちですが、これは明らかに病気です。未明~早朝の就寝中に発症する筋硬直の原因は「下腿静脈血のうっ血」です。要するに、静脈血の“よどみ”が根本的な要因です。この現象は静脈弁不全が原因で下腿に静脈瘤が認められる場合がほとんどです。ヒトは直立歩行するが故に、下腿に血液が貯まりやすいのです。

下肢の静脈血を心臓に戻すために、解剖学・生理学的に二つの要素が機能する必要があります。一つは「静脈弁」で、心臓方向に戻した静脈血が逆流しないように機能します。もう一つは、下腿の筋肉それ自体で、「第二の心臓」とも言われていますが、昼間歩行して下肢の筋肉を使っている時は、筋肉の伸び・縮みがポンプの働きをして心臓よりはるかに下位にある静脈血を無意識の内に、重力に逆らって押しもどしてくれています。しかし、下腿の静脈弁不全を伴う、「下腿静脈瘤患者」さんでは、就寝中は「静脈弁」も「第二の心臓」も機能しません。明け方になると、下腿に老廃物の多量な静脈血が貯まりに貯まって、筋肉の代謝不全に陥り、筋硬直を引き起こしているのです。解決法は、根本的には血管外科的手術ですが、1円のお金もかけずに保存的に対応できる簡便な方法があります。それは、患足を高くして就寝すればよいだけのことです。枕か座布団を折ってその上に足を乗せて眠りにつけば、相当に効果が現れます。それでも、改善しないようでしたら血管外科や心臓血管外科を標榜している医療施設を受診してください。

(2013.8.29)

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