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新潟市医師会

精巣捻転

新井 啓

(江南区 かめだ泌尿器科クリニック)

  陰嚢(いんのう)の中にある精巣(せいそう)は、精索(せいさく)という構造物で体の中と繋がっています。精索の中には血の巡りを担う精巣動静脈と精子を運ぶ精管が通っています。この精巣と精索が捻(ねじ)れてしまう精巣捻転(せいそうねんてん)という病気があります。精索が捻れてしまうため血管が締め付けられ、精巣に十分な血流が届かなくなります。思春期以降の男性に多く発症し、放置すると精巣が壊死(えし)してしまう恐ろしい病気です。精巣は捻れないような構造になっているのですが、その構造が不十分だと捻れてしまうことがあるのです。症状は激しい精巣の痛みに始まり、腹痛、嘔吐を来すこともあります。小さなお子様の場合、正しく症状を伝えられなかったり腹痛がより強かったりすると、他の疾患と診断され見落とされることもあります。

 先述した通り精巣に血流の障害が生じますから、一刻も早い治療が求められます。発症後6時間を経過すると精巣の細胞が壊死してしまう可能性が高くなるからです。治療は手術による捻転の解除と、精巣の捻れ防止の固定です。治療が早ければ精巣の機能をほぼ温存することが出来ますが、遅くなればなるほど精子を作る機能の低下を来します。精巣が壊死してしまうと、精巣を残すことは困難で摘出を要する場合もあります。また手術で精巣捻転と確定診断された場合、反対側の精巣も固定術を行います。反対側の精巣も捻れやすい要素を持つ場合が多いからです。

 精巣捻転は捻れが自然に解除されてしまうこともあり、その場合症状は急速に消失します。ただ一度捻れた精巣は今後も捻転を起こす可能性が高いため、早めに専門医へ相談をして下さい。

 以上のように精巣捻転は早急な対応を求められる病気です。迅速な診断、治療が精巣の機能温存に繋がります。ご子息が精巣の激しい痛みを訴えられたら、すぐに専門の医療機関を受診して下さい。

(2016.11.29)

 

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