細野 浩之
新発田から三川に抜ける途中の上赤谷集落にある、チョット離れた山あいにあるカフェ。旧赤谷駅を過ぎ、左手に棚田の風景を見ながら旧赤谷線が道路に変わった緩いカーブの坂を登りきるとそこに手作りの木の壁の建物「ギャラリー&cafeミント」があります。
入口の旧赤谷線で使った枕木の階段を登って、ドアを開けるとそこには別世界が広がります。お店に入ると入口のわきには水出しコーヒー器具が二台、白熱灯に照らされ暖められて置かれ、ポタポタとコーヒーの美味しそうなエキスが静かに落ちています。真空管アンプからは静かに室内楽が流れ、大きなガラス窓の向こうには赤谷の棚田のパノラマ風景が広がります。
お店は12月から3月まで雪のためお休み。店が始まる春には、棚田の代かきが始まり、水が張られ山が逆さ写りになり、田植えを終えると、水に映る空と稲の緑が重なり、稲がいっそう緑の色を深め、夏が終わると深い緑がやがて黄金色に変わり、黄金の稲が刈り取られると、そろそろ山が黄金と紅に染まり、やがて遠くの山が白く雪をかぶります。毎年、来るたびに、窓から見える風景は季節の移り変わりを感じさせてくれます。
水出しコーヒーをダッチコーヒーと言うそうですが、ここで初めてダッチコーヒーというものを知りました。ぽたぽたと一晩かけて抽出したコーヒーエキスは数日冷蔵庫で寝かされ、まろやかさを増しています。ほんのり温めなおしてあるコーヒーはとても濃いのですが、渋み雑味が全くなく、甘く優しく香ります。ところがアイスで飲むと軽くすっきりした味になるのです。山の名水が味と香りを引き立てています。マスターの奥様のお手製の素朴なケーキを一緒に食べると至福の時が流れます。
バックには小さく、温かく室内楽が流れてきて、風の音と鳥のさえずりに重なります。美味しい眺めと美味しい音と美味しい味と香りが一体化して、来るたびに違った顔を見せてくれます。何時間でも居たくなる心地よい空間です。
ギャラリー&cafe ミント
住所 | 新発田市大字上赤谷2592−2 |
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電話 | 0254(28)2717 |
営業時間 | AM10:30~PM4:30(平日) AM10:30~PM5:00(休日) |
休日 | 木・金曜日 冬期間(12月~3月)休業 |