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「そば 竹野」と「そば処 山風」

そば屋には、立ち食い系、店屋物系、老舗系、ヌーベルバーグ系の4つがあると思う。

立ち食い系は、駅の近くにある立ち食いの店に代表されるグループで、あらかじめ茹でてあるそばを温めて出す店が多い。サラリーマン人口が増加した昭和40年代をピークに、駅やショッピングセンターなどに開業した。

店屋物系は、出前に力を入れて繁盛した店で、創業は戦後から昭和40年代の間である。そばのほかに、どんぶり物が充実している。うどんはもちろん、ラーメンもライスカレーもあり、焼きそばを出す店さえある。

老舗系は藪や更科や砂場などと名乗っていて、種物が充実している。日の高い時間に、そば屋で一杯という池波正太郎や杉浦日向子の優雅な世界は、この老舗系の店でのことが多い。創業は戦前で明治や江戸のこともある。

ヌーベルバーグ系は、店主が材料にこだわるので、いきおいメニューに能書きがタップリ書かれる。ネギはそばの風味を損なうから使わないなどと、依怙地なこだわりを貫いたりする。店には、「人間だもの」などと書かれた相田みつをの色紙が飾られたり、BGMにジャズを流すところもある。創業は主にバブル崩壊以降で、店主は脱サラ組が多いので、脱サラ系と呼んでもよいと思う。

我ながらいささか強引だと思うこの分類に基づいて、そこかしこのそば屋に出没している。

 

そば文化は江戸時代に確立され、その後はあまり進化していないと言われている。したがって、そば屋のメニューは同じような構成になる。究極のそばを提供しようとするヌーベルバーグ系の店は、メニューに個性を出せない分、生き残るにはハイレベルな技量が要求される。そんな厳しい状況のなかで、何の 因果か隣り合わせで切磋琢磨するヌーベルバーグ系の2店がある。

 
そば 竹野(新潟市中央区一番堀通町506/025-224-2606/休:月曜)

黒塀の上に見越しの松の趣がある樹木が垂れ下がり、門を入ると伝統と新しさをミックスした和の構えの店がある。創業は平成8年とのこと。

もちろん、せいろがいい。そば粉は北海道産を茨木産などと混ぜて使い、二八だが、そば特有のざらつきがあって喉越しは申し分ない。甘からず辛からずのつゆの塩梅がいい。薬味は水にさらしてネギ臭さを抑えた刻みネギとワサビである。鴨せいろもお勧めだ。そばを食べ終わって、そば猪口に湯桶のそば湯を注ぎ、そばの切れ端やつゆのしみたネギやワサビのツブツブとともに、少し温かくなったつゆをちびりちびりやるのは、心安らぐひと時だ。


そば処 山風(新潟市中央区一番堀通町505/070-5210-3803/休:月曜)

店の前方部分は黄緑色のモルタル造りで、後はまるでバラックのような、とてもヌーベルバーグ系のそば屋とは思えない外観である。店に入ると打って変わってそば屋らしい落ち着きがあり、右手に麺打ち室がある。

ここも、せいろがお勧めだが、冬場が旬の辛味大根をそばにふり掛けて食べる高遠そばも魅力だ。西会津のそば粉を使っていて、十割である。

いつ開店したか尋ねたところ、平成9年6月29日と詳しく教えていただいた。開店の日に思い入れがあるのかもしれない。この店舗は以前はラーメン屋だったそうだ。

 

「腕に自信のある山風の店主が、嵐のように竹野の隣に強引に店を開いた」というのが、巷のもっぱらのうわさである。店の外観は月とスッポンの違いがあり、軍配は竹野に上がる。しかし、そばは互角ではなかろうかと思う。両店とも盛業のようだ。

浅井 忍

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