理事長 江部 和人
当院、西蒲中央病院は、平成13年4月に開設し、今年で18年目を迎えます。新潟市西蒲区の西区寄りに位置し、国道116号の幹線沿いで、周囲を田んぼ、畑に囲まれ、眼前に角田山を望み、自然に恵まれた環境にあります。
法人の理念でもある、「人と地域にやさしいオアシスを目指します」のもと、地域に根ざした医療・介護サービスの提供に今日まで一貫して取り組んで参りました。
診療科は内科、神経内科、外科、整形外科、眼科、リハビリテーション科で外来診療を行っております。診療所の先生からの紹介患者、入院依頼は地域の後方支援として、できる限り断らないことを掲げています。また、在宅療養支援病院として、希望がある患者さんには訪問診療、往診も行い、訪問看護等と連携し看取りも行っております。
急性期治療から回復期、療養、在宅ケアまで患者、利用者さんに安心して医療、介護を提供できる体制を築く事を重視してきました。病床は166床で必要に応じ転換、変遷し、現在の急性期病床、地域包括ケア病床、医療型療養病床に至っております。急性期病床では高度急性期治療を必要としない疾患、高齢者特有の慢性疾患の増悪、また圧迫骨折、上下肢骨折等の整形外科疾患は必要に応じ手術も行っております。地域医療構想を鑑み、地域の需要、社会構造の変化など考慮し医療療養病床の一部を地域包括ケア病床に転換する予定で、病棟の改築など準備を進めており、現在の20床と転換後の31床合わせて3月には51床として地域包括ケア病床の運用が開始されます。この病床は①急性期治療後の受け入れ②在宅療養中、施設での緊急時の受け入れ③在宅復帰の支援(リハビリも含め)④レスパイト等を目的としています。入院から在宅まで地域完結型の医療・介護体制を目指す当院にとってこの病床は必須となります。
当院のもう一つの機能として、医療依存度の高い高齢者、難病、呼吸器疾患等で在宅、介護施設での療養が難しい患者さんの医療療養病床での長期管理も挙げられます。医療面はもちろんですが、積極的にリハビリが介入し、身体機能の維持、向上、摂食嚥下訓練、拘縮予防などで肺炎、褥瘡等の合併症予防にも取り組んでおり、またNST、STリハが中心になり最後まで「食べる」事にも力を入れております。
当地区は新潟市において高齢化率が最も高く、人口減少も顕著です。独居、老人世帯、核家族等から介護力不足で高齢者を自宅で支えることが困難な状況もあります。新潟市の救急体制も逼迫しており、高度急性期治療を必要としない病態の方は、地域で入院加療、回復すれば在宅ケアを利用しながら自宅で生活する事が肝要です。入院早期から院内の多職種が連携、モニタリングし、患者さん、ご家族の希望に沿い在宅復帰に向けチームで多職種協働を実践しています。また、近年、複雑な病態、社会背景などから院内だけで解決出来ない事も多く、法人の関連事業所との共有、また関係するかかりつけ医、介護事業所と途切れない情報共有に努めております。更なる横の繋がりを構築するため、地域連携相談室が中心となりニーズに迅速に対応する事が重要と考えております。
在宅ケアを支える居宅支援事業として24時間体制の訪問看護ステーション(看護9名、リハ16名)、居宅介護支援事業所、通所リハビリテーション、認知症対応型デイサービス、また有料老人ホームが中心の複合型介護施設(こころはす西蒲、小針)が病院と協同し、己の生まれた地域でその人らしい生き方を支援しており、今後も更なる充実が必要と思われます。
また当院が新潟市の医療、介護連携推進事業である「在宅医療・介護連携ステーション西蒲」を受託し、2年が経過します。今後、更に地域に密着した医療介護連携、各種研修会の開催、住民啓発等に情報発信して参りたいと考えております。地域に目を向け、地域に出向き、地域の方々と共に考える、地域社会の一員として地域づくりに貢献して参りたいと考えております。
以上、当院は一貫して入院から在宅ケアまで地域の関係機関と連携し地域全体で支える「地域包括ケアシステム」の構築を目指して、取り組んで参る所存であります。地域の多くの皆様にご利用頂き、病院、かかりつけ医の先生方には、今後ともご指導、ご鞭撻のほど宜しくお願い致します。