白根大通病院 副院長 内山 昌則
はじめに
当病院は新潟市南区にあり平成14年4月に開設して以来増床を経て現在299床を有する地域密着型の病院です。A館のA3・4・5病棟、B館のB2・3・4病棟、ホスピス病棟(B館5・6階病棟)の構成で、慢性期疾患を治療する療養病棟が194床、重度の意識障害や呼吸管理などを必要とする障碍者病棟77床、悪性腫瘍に伴う痛みを緩和しながら終末期を全人格的にケアするホスピス28床で成り立つ複合病院です。しかし今回の医療費改定に伴い介護療養院制度ができたため今後療養病棟をどのように編成するか討議しています。平成30年5月現在、常勤医師は新田幸壽院長を含め計10名です。
療養病棟、障碍者病棟、ホスピスについて
当院は高齢者を中心に呼吸器疾患、認知症や脳疾患に糖尿病など合併症を有する患者さんのみとり医療や老人施設への転院ないし在宅介護移行まで治療・療養・リハビリを行っています。平成28年度の新入院患者数は434名であり、入院経路は開業医・ケアハウス・病院より紹介の在宅患者が104名(24%)、下越・佐渡・中越の急性期病院(新潟市民病院、県立がんセンター新潟病院、済生会新潟第二病院、信楽園病院、新潟白根総合病院、新潟大学医歯学総合病院、燕労災病院など)より紹介の転院患者が295名(68%)、県外病院よりの転院患者が4名(0.9%)、白美会施設よりの紹介入院患者が21名(4.8%)、介護老人保健施設や介護老人福祉施設よりの紹介入院患者が10名(2.3%)でした。一方入院相談は一般病棟へは563件、ホスピスへは332件と計895件に及びましたが、入院受け入れ実数の割合は全体で48.5%であり、これはホスピスは入院相談から入院までの期間が平均20日と長いこともあり、受け入れ実数割合が34%と低いためでした。今後も担当医や家族との連絡を密にかつ審査を円滑にして入院待機時間の短縮に努めていく所存ですので、医師会の皆様には今後も変わらずご紹介下さいますようお願いいたします。
平成28年度の新入院患者数434名のうち退院患者数は432名で、亡くなられての退院は314名(72.7%)、在宅への退院は59名(13.7%)、白根ヴィラガーデンなど白美会関連施設への退院は10名(2.3%)、介護老人保健施設や介護老人福祉施設への退院は25名(5.7%)、ほか病態変化により他病院転院は24名(5.6%)でした。うちホスピスへの入院はA・B病棟からの転床も含め149名(うちホスピスへの直接入院は113名)で、平均在院日数53.4日の緩和医療ののち亡くなられての退院は145名(97.3%)でした。
外来、小児言語外来、リハビリテーション、居宅サービスについて
外来は内科・外科・神経内科・泌尿器科・整形外科・リハビリテーション科を有し、特殊外来として小児言語リハビリを行い、居宅サービスとして介護支援・訪問介護・通所リハビリテーションを行うしろね総合介護サービス、訪問看護を行うしろね訪問看護ステーションで成り立っています。平成28年度外来患者総数は5,756名、新患数は720名でした。特に小児言語リハビリ外来は下越では2つ目の特殊外来施設であり、言語発達遅延症例を主として総数3,815名、新患数は195名で毎年増加傾向にあり、高齢者中心の病院内にあって子供の声や笑いで外来が活気づいています。
シルバー救急システムについて
当院は慢性期病院ですが急性期医療も併せ持った在宅療養後方支援病院になっており、地域包括ケアシステムを担う病棟への再編も考慮しています。また当院で対処可能な在宅療養の高齢者の急患や紹介患者を受け入れる態勢の強化が院内で定着してきています。当院が位置する南区でも在宅医療・介護の連携が進み在宅支援にシフトしていますが、みとり医療で病院での最後を望む患者やご家族が多いのが現状です。こういった患者が3次救急病院に運ばれてしまうと救急医療現場の混乱を招きます。そこで当院のような救急医療の不得意な療養型病院がシルバー救急病院として機能するようシルバー救急システムを考えています。かかりつけ医、患者ご家族、シルバー救急病院の3者協議によりシルバーカードを発行し、救急搬送の要請を受けた救急隊はこのカードを確認した場合、迷わずシルバー救急病院へ搬送し、自然な経過で最期を迎えられるようにするシステムです。このような迅速対応のみとり医療に特化したシルバー救急病院を公的にも認定していただくため、医師会白根班で討議し救急隊との連携をスムーズできるよう検討しております。
新潟市医師会の会員の皆様には患者さまをご紹介下さりありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。今後ともご支援いただきますよう何卒よろしくお願い申し上げます。