聖園病院長 坂内 省五
私どもの聖園病院を紹介いたします。
病院のそもそもの母体は、昭和8年にカトリック団体が開設した結核療養所から始まりました。それが聖園病院と名乗るようになったのは昭和35年ですので50数年の歴史があることになります。かつては胸部外科、一般外科の手術も行われていた急性期病院でした。その後、平成5年に社会福祉法人から医療法人への経営移譲がありました。
ただ名称は、地域にも慣れ親しまれている聖園病院のままで現在に至っています。
これまでに病院では大きな変化がありました。一つは平成6年の療養病床の開設です。
慢性期の長期入院患者の受け皿は従来なかったものであり地域医療への貢献も図れるという目的の下、逸早く開設をしました。これにより、近隣の病院、施設より多くの患者のご紹介をいただき、高い病床利用率の継続に繋がることとなりました。
次いで、平成26年に一般病床を療養病床へ転換し、全ての病床を療養病床といたしました。これで病院全体の病床利用率の更なる安定を図ることを想定しました。
しかるにここに大きな問題が生じました。介護療養病床の廃止です。
日本の病院病床数が過剰であるとの指摘は以前よりされており、病床数削減の標的とされたのが療養病床で、所謂社会的入院の温床とされてきました。一部にはそのような病院があるかもしれませんが、大多数の慢性期病院は地道に地域の医療介護に寄与していると、私自身は思っております。
そしてこの春、遂に介護療養病床の廃止が正式に決まりました。これまでに何度か介護病床廃止の通告が出されましたが、その都度病院側の粘り強い抵抗で廃止が延期されてきました。そして今回到頭廃止決定の事態にいたりました。
猶予期間はありますが、いずれ消滅する介護療養病床の後釜として、新しく「介護医療院」なるまったく新しい組織が提唱されました。これは「住まいにおける生活を医療が支える施設」と謳っています。実際は病院と同じ医療施設でありながら在宅に準じる施設、ということのようです。当院でもこれにどのように対応していくかが今後の非常に大きな課題です。
これからも、地域に根を張った慢性期病院として前進していきたいと考えております。
諸病院、諸先生のご支援をお願い申し上げます。