黒田 兼
ある土曜日のお昼、診療を終えると大急ぎで帰宅。東京へ向かうため、お昼をとる間もなく新潟駅へ。改札を抜けエスカレーターでホームに直行し13時43分発の「とき368号」に乗り込む。そして発車。「お腹すいたなぁ。後でワゴン販売が来たら何か買おうっと」。車掌さんが東京駅までの停車駅をアナウンスしている。そして、「…なお、この列車には車内販売はございません。ご了承ください」。んっ?何ですと!了承しかねます。っていうかJR東日本さん、せめて発車前に教えてくれませんか?
実はこの「とき368号」、毎週末運転される臨時列車のため車内販売がないのだ。ちなみにJR東海では、車内販売のない「こだま号」の発車前に、その旨ホームでアナウンスしてくれる。
最近、列車の車内販売がどんどん縮小されている。上越新幹線の定期列車でも3月で弁当の販売は中止された。そして追い打ちをかけるように、先日6月末で私の大好きなホットコーヒーの販売も終了。駅構内やホームの物販が充実してきたためと説明されている。子供の頃から、列車の車内販売は旅行の楽しみの一つであった。いろいろなものが小さなワゴンにぎっしり詰められていて、見ているだけでも楽しかった。大人になっても、販売員の人が近づいてくると、品物をチラ見するときなぜかドキドキした。またあるときは次来たらコーヒー買おう!と意気込んでいたのに、油断した隙に背後から通り過ぎられて悔しい思いをしたり。
ある2地点間を新幹線が4時間以内で結べれば、客は飛行機より新幹線を選択する「4時間の壁」という言葉がある。東海道新幹線では東京−広島間が4時間で、飛行機と激しい競争を繰り広げている。となれば新潟−東京間などわずか2時間。移動は新幹線の独壇場となり、このくらいだったら時間がなくてお弁当を買いそびれてもなんとかなるでしょ?ということだろうか。
しかし私にとって一番の問題は、お弁当よりホットコーヒーである。缶コーヒーは苦手なので、この先いかにして乗車前にホットコーヒーを確保するのがさしあたっての心配事である。