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最終版 間違いだらけの車選び
早川 広史
「間違いだらけの車選び」が発刊されて30年という。その頃ちょうど私も運転免許を取ったばっかりであったが、学生という身分では車を持つこともかなわず、まさにスーパーカー華やかりし時代で、友人たち(当然すねかじり)のポルシェやロータス、フェアレディZなどの助手席に時々乗せてもらってへーとかハーとか自分とは違う世界と嘆息していたころであった。父からは自分の始末が自分でつけられるようになってから自分で車を買えと厳命されていたので(従って私の息子たちにも同様)、最初の車購入は研修医の半ばに大学病院から長岡の病院に出張する時であった。そのころの給料といえば今の研修医制度と違って数万円という額であったので、母に頭金を借りて3年月賦で購入した(出世払いで返すという約束だったが……)。
最初の車は学生時代からいいデザインだな(ジウジアーロデザイン)と思っていた三菱ミラージュ5ドアハッチバックで、三菱マークをスリーダイヤに張り替えてプチカスタムを楽しんだりしていた。そのころ大学医局からの出張は半年ごとに病院を変わるシステムで、以後柏崎、小千谷、高田などの病院を転々としたが、ちょうど高速道路が次々とその地域に開通していった時期と一致していた。
最初は長生橋の欄干にぶつかりそうになったりしていたが、次第にドライブが好きという芽が出たと思う。次の車といえば次々に出張先が遠くなり荷物も増えてきたので少し大きな車をと、出たばかりのトヨタビスタ5ドアハッチバックを選んだ。初めてのディーラーにいきなり飛び込んで、試乗もせずかなり値切って即決で契約してしまった。これは「間違いだらけの車選び:徳大寺有恒氏」の影響を大いに受けたためかもしれない。
現在の車は家族所有を含めて11台目であるが、購入の際には「間違いだらけの車選び」も必ず参考にしていた。購入台数を重ねるにつれ、自分の好みもあるため必ずしも全面的に意見を受け容れたわけではない。しかし購入後しばらく乗ってみると、彼の意見に頷くことも多かった。
「間違いだらけの車選び」の歯に衣着せぬ論評が、日本の自動車の発展(大げさかもしれないが)に与えた影響は大きかったのではないだろうか。私のような素人が読んでああそうかと思えば、自動車に関わる人たちも耳の痛い部分も多かったに違いない。最終版は毎年2回更新の車評ではなく、30年間の日本車の足跡を踏まえて、初版から2005年前半までを14章に分けて構成してある。30年前の車評なのに今読んでも納得できるし、現在その通りになっているのがすごい。それは彼の車への思い入れや一貫した考え方に基づいたものでもある。車評を書くためにはその車に徹底的に乗らなければならないし、体力・気力が必要であろう。さすがの徳大寺氏も、年2回発行のためには年齢・体調的にそれが難しくなって来たと聞く。
車評の書物は「間違いだらけの車選び」以後にも多く出ているが、これを超える物がないと思う。最終版は自動車30年の道のりと私の車歴を振り返るという意味もあり、取り上げた。
最終版 間違いだらけの車選び
| 著者 |
徳大寺 有恒 |
|---|---|
| 単行本 | 350P |
| 出版社 |
草思社 |
| ISBN | 4794214626 |
| 最終版 巻 | January 2006 |