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『日本は世界で第何位?』

笹川 基

外国の風景、歴史、文化が観たくて海外へ旅立ってみると、逆に日本のことが気になるといった経験をされたことはありませんか?『日本は世界で第何位?』は、長年海外旅行添乗員として世界中を渡り歩いた著者が、約70項目について国別ランキングを付けることにより、世界における日本の位置づけを試みた1冊です。本屋の店頭で魅力的なタイトルに釣られて購入しましたが、日本を知る上で少し役立ちそうな本です。

ランキングで話が展開しますので、世界にいくつの国が存在するのか確認しなければなりません。「世界の統計」によると、2005年現在世界の国の数は193です。

話は、日本の国の大きさからスタートします。「日本は小さな国」との既成概念があるように思いますが、面積37.8万km2で世界62位、上位1/3に入っており、これは意外でした。ヨーロッパ44カ国の中で比較すると、37.8万km2は堂々の7位で、東西統一されたドイツより大きな国であるとは知りませんでした。一方、人口は1億2,810万人で10位です。森林の割合が64%(7位)であることを考えると、人口密度の高さが納得できます。

世界の中で日本はどれくらい裕福な国なのか、国民一人あたりの国民総所得(GrossNational Income、GNI)で日本は第5位です。不景気が続いていますが、世界規模でみると日本はとても豊かな国なのです。ベスト10中、アメリカと日本を除く8カ国はヨーロッパが占め、ヨーロッパの豊かさが窺えます。一人あたりのGNI が低いワースト10にはアフリカ諸国が多く、中央アジアのタジキスタンを除く9カ国がアフリカの国々です。一人あたりのGNIが最も高いルクセンブルクでは年間510万円なのに対し、最も低いエチオピアでは年間1万円であり、格差はなんと500倍あります。わが国でもワーキングプアなど格差社会の問題がクローズアップされていますが、国際的な格差も広がっているようです。

今年は北京オリンピックの年、日本人の活躍が望まれますが、バスケットボールやバレーボールなど体格が物を言う競技では、大男、大女を揃えた国に敵いません。日本人の体格は国際的にみてどうでしようか。Wikipedia の「human height、2007」からの引用ですが、やはり先進国の中では下位に甘んじており、1位のクロアチアに比べ男性で13cm、女性で12cm劣ります。では、体重はどうでしよう。メタボリック症候群を気にしてダイエットに励む人が多いご時勢ですが、世界的にみて日本人は本当に太っているのでしようか。WHO の統計を用いてBMI 30以上の高度肥満の割合ランキングが記されています。ナウルを筆頭に、サモア、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦など南太平洋に浮かぶ島国が上位に名を連ねています。これらの国ではフランス、イギリスなど旧宗主国から持ち込まれた食習慣が原因で急速に肥満率が高くなったとされています。また、クウェート(5位)、アラブ首長国連合(7位)、バーレーン(8位)と中近東諸国がベスト10入りしているのは、オイルマネーの影響でしようか。富がもたらした負の遺産の一つに思えます。わが日本はかなり下の方で、高度肥満率3.4%、54位です。世界人口66億人の中、飢餓状態の人が8億人、慢性的栄養失調の人が20億人いるとすれば、決して肥満国とはいえないようです。

話題は著者の本職、海外旅行へと移ります。日本人の海外旅行客は年々増え、2005年には1,683万人が渡航しています。渡航先として最も多いのはアメリカですが、ハワイ、グアム、サイパンなどが多く、本土へ訪れる人は年間100万人弱です。2位以下はアジア諸国が続き、中国、韓国、タイ、香港の順にランキングされています。日本人は裕福で海外旅行好きかと思うと、上には上があるもので、海外旅行者数の多い国ランキング1位はドイツ、年間7,230万人となっています。EU 諸国では国境に関してボーダーレスなのでしよう。2位アメリカ、3位イギリスと続きますが、4位以下、ポーランド、チェコ、マレーシア、中国、ロシアに関しては、出稼ぎ労働者が多く含まれているようです。

世界遺産を取り扱ったテレビ番組がNHK やTBS で放送されていますが、旅行・探検などを扱った世界的雑誌「ナショナル・ジオグラフィック・トラベラー」お薦めの世界遺産ベスト10には、ノルウェー西部のフィヨルド、フランス・ヴェズレーの教会と丘、グラナダのアルハンブラ宮殿などがランクインしています。

海外旅行にはトラブルも付き物ですが、旅行者が気をつけなければならない事案として、バンコクの迷子美人局(旅行者を装ったアジア系美女が迷子になったと言って近づいてきたら要注意)、トレビの泉(観光客は必ずコインを投げるため財布を取り出します、これを少年スリ団が狙っています)、ケルン大聖堂、ミラノ大聖堂(上を向いてステンドグラスに興じているとき、無防備です)などに出没するスリ団等が紹介されています。世界80カ国以上を巡った著者が、世界で最も危険な都市として挙げているのは南アフリカのヨハネスブルグで、アパルトヘイトから開放され町に溢れだした黒人貧民層による強盗、殺人、レイプなどが多発しているとのこと。2010年サッカーW杯で選手のみならず、多くのサポーターが日本からも訪れることでしようが、大丈夫でしようか。

後半に入ると、柔らかい話が登場します。ビール、お茶、コーヒーなど嗜好品の話、外国人妻/夫の国籍、離婚率、さらには同性愛に対する処罰など、さまざまな話題で話が進んでゆきます。

タイ、トルコなどで暮らした経験をもつ著者の話には説得力があります。雑学知識を得るにはぴったりです。

最後に、「1位ギリシャ138回/年、2位クロアチア134回/年、3位セルビアモンテネグロ128回/年…、41位(最下位)日本45回/年」これは何のランキングでしよう? 答えは本書でご覧下さい。

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『日本は世界で第何位?』

著者 岡崎 大五
出版社 新潮新書
定価 本体700円+税

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