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『親の品格』

早川 広史

小児科医という職業柄、常に「親と子」に接している。自身も我が子が成人またはそれに近い年齢となり、そろそろ子育て(どれくらい参加したかは家族からは不評)も終了に近い。また九十歳近い両親も何とか健在で、まだ子どもという役割も担っている。誰しも子であり、親になる(正確には子どもから親にしてもらうのだが)。本書(親の品格)を括って言えばそのための総論的指針と言える。

品格とは、「人に自然にそなわっている人格的価値」ということなのだが、本書は品格シリーズの名を借りているが、古き良き日本の親が躾として子どもに当たり前にしてきたことを列記してある。66項目にわたり、ゆりかごから墓場まで、挨拶から始まって介護・遺言まで順を追って「品格のある大人」になるための指針が述べられている。特に目新しい事はないのだが、一通り読んでみると、今更ながら「そうだっ たね、こうすれば良かった、今度はそうしよう」と言ういちいち再確認・反省させられることも多い。私のようなそろそろ子育ての終わる年代よりも、これから子育てが始まる年代によりふさわしい内容と思う。本書が多くの人に読まれているのは、品格シリーズに追従しているだけでなく、「少子化・核家族化・共働き」という今の時代の子育てにどのように対応していくか、そしてこのままでは日本が危ういという危機感があるのではないかとも思う。モンスターペアレントなどという名称も生まれているが、そうなる前に「品格のある親」を育てたいものである。

本書は〇〇しましょう、〇〇するべきですというようなやや教科書的な書き方で、では具体的にはどうなの? という各論がない。

『子は親の鏡』という19行の詩がある(ドロシー・ロー・ノルト著、子どもが育つ魔法の言葉、PHP 文庫と-17-1)。1954年に書かれた詩で、やや教条的であるが今なお支持されている。詩の解説には具体例を挙げて記載されているが、トム君を太郎君に置き換えて見ても何の違和感もない。子育ての真理は和洋を問わない。

 

・ けなされて育つと、子どもは、人をけなすようになる
・ とげとげした家庭で育つと、子どもは、乱暴になる
・ 不安な気持ちで育てると、子どもも不安になる
・ 「かわいそうな子だ」と言って育てると、子どもは、みじめな気持ちになる
・ 子どもを馬鹿にすると、引っ込みじあんな子になる
・ 親が他人を羨んでばかりいると、子どもも人を羨むようになる
・ 叱りつけてばかりいると、子どもは「自分は悪い子なんだ」と思ってしまう
・ 励ましてあげれば、子どもは、自信を持つようになる
・ 広い心で接すれば、キレる子にはならない
・ 誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ
・ 愛してあげれば、子どもは、人を愛することを学ぶ
・ 認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる
・ 見つめてあげれば、子どもは、頑張りやになる
・ 分かちあうことを教えれば、子どもは、思いやりを学ぶ
・ 親が正直であれば、子どもは、正直であることの大切さを知る
・ 子どもに公平であれば、子どもは、正義感のある子に育つ
・ やさしく、思いやりをもって育てれば、子どもは、やさしい子に育つ
・ 守ってあげれば、子どもは、強い子に育つ
・ 和気あいあいとした家庭で育てば、子どもは、この世はいいところだと思えるようになる

 

開院当初は待合いの片隅に張っておいたのだが、いつの間にかなくなってしまった。「子は宝」である。宝であった子も親になり、その次の子もまたその宝になるのだからもう一度張ることにしようか。

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『親の品格』

著者 坂東 眞理子
単行本 PHP 新書 495
出版社 PHP 研究所
出版年月 2008年1月
ISBN コード 978-4-569-69707-9
税込価格 756円

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