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『建設技術者のための地形図読図入門 第1巻 読図の基礎』

大倉 隆弘

みなさんは、散歩の途中や、車や電車に乗っている時に、ちょっと気になる地形、場合によっては風景と言った方がいいかもしれません、に出くわした事はないでしょうか? たとえば……

 

新潟駅から新幹線に乗って5分もすると、越後平野の水田地帯に入ります。車窓に注意していると、燕三条までの間に、こんもりとした樹林の帯を何回か横切るのが分かります。この樹林の中には、民家があって畑も見えますが、河川はありません。背の高い樹木も多く、中には高架橋の高さを超えるものも混じっています。樹林の帯の幅は広いところでも100m くらいでしょう。新幹線だと一瞬で横切ってしまいますが、高架の上からですので、この帯がうねうねと遠くまで伸びているのがよく見えます。なんで田んぼの真ん中に、このような樹林帯がつらなっているのでしょうか?

こういった、少々マニアックな疑問を解くのにうってつけの本として、「建設技術者のための地形図読図入門 第1巻 読図の基礎」を紹介します。著者は中央大学教授の鈴木隆介氏です。本書は4巻シリーズの第1巻であり、全体の入門編にあたります。出版社は古今書院で、地理関係の書籍には定評があります。

この本の目的は、国土地理院発行の地形図(2万5千分の1、5万分の1)を読み取る力を養うことにあります。しかし、表面的な理解にとどまらずに、この地形はどのようにして作られたのか、この土地はどのようにして出来上がったのかといった、地形・土地の「成り立ち」にまで踏み込んで考えることを重要視しています。建設・土木の分野でよく言われる、地盤の善し悪し、水はけの善し悪しといった問題は、土地の「成り立ち」によって決まってきます。そのため、「建設技術者のための」というタイトルになっているのですが、内容に関しては特に建設関係に偏っているわけではありません。基礎的な事柄を、手取り、足取り分からせるといった姿勢が貫かれており、読図や地形学の入門書として、一般の人が読んでも全く問題ありません。新潟平野を題材としたところも多く、われわれにとって親しみやすいはずです。新潟の景観は単調で、地形上の見所が無いように思われがちですが、さにあらず。色々なものが隠れていることに、認識を新たにされるでしょう。

 

本書には、国土地理院の地形図が豊富に引用されています。ことに、旧版の地形図(明治、大正、昭和初期のもの)が多いのが目に付きます。これは、様々な人工的改変の加えられてない昔の地形図の方が、オリジナルの地形や土地の利用状態を保存しており、価値が高いという著者の考えによります。

 

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『建設技術者のための地形図読図入門 第1巻 読図の基礎』

著者 鈴木 隆介
出版社 古今書院
  本体3,800円(税込)

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