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『国道の謎』
椎名 眞
新潟市を通る国道350号線をご存じだろうか。起点は新潟市、終点は上越市であるが、道路の主要な部分は両津港から金井、佐和田、真野を経て小木港に至る佐渡島内を走っている。新潟港-両津港、小木港-直江津港の間は海上区間であり、この佐渡汽船航路のカーフェリーのデッキには「国道航路350号」と書かれたパネルが設置されているというから驚きである。
本書では、今ではチョー有名になった階段国道(青森県竜飛崎の国道339号線)を始め、全長200m に満たない国内最短の国道、標高日本一を誇る絶景の国道など、いろいろな国道が第1道から第10道まで豊富な写真と地図を示しながら解説されている。
しかし本書は単なる「国道物知り事典」的なものではない。綿密な調査に基づいて、資料や文献を示して書かれた、まさに「国道の謎」を追求する著者の執念が感じられる一冊である。
谷川岳を通る点線国道(国土地理院の地形図で幅員1.5m 未満の道は点線で示されることから国道ファンの間ではそのような国道区間をこう呼ぶ)の話は、時の政治や経済に翻弄される路線の盛衰が描かれて興味深い。清水峠から新潟側(越後清水)に通じる三つのルートの歴史的考察から、明治、大正、昭和にいたる道路行政の変遷をたどり、建設費と維持管理費をめぐる「国と地方」の問題を通して「公共の道路とは何か」という大きなテーマが提示されている。
また、最初から無料の自動車専用国道として作られた名阪国道の建設経緯や、平成5年まで国道に指定されなかった第3京浜の国道指定にいたる経過の調査研究からは、高速広域道路網の発達した現代における「道路の受益者負担原則」実現の困難性が示されている。わが国では高速道路の大幅割引や無料化が政策として論じられている今、それがドイツのアウトバーン一部有料化の流れと対比されており、考えさせられた。
実は、私も現在近くの国道に関する問題を二つ抱えている。一つ目は、家のすぐ脇の道路である。つい最近までれっきとした国道116号線であった。それが、116号線の路線が変更され、「西大通り」と名称が変わったのである。さらに困ったことに、その南側には以前から「旧116号」と通称されている道路があるのだ。その道は今度はどう呼べばよいのだろうか。「旧々116号」か?
もう一つは、家の北側の国道402号線である。文京町から堀割橋を渡って五十嵐方面(最後は柏崎まで)に至る道で、「産業道路」とも呼ばれている。ところが、有明町から五十嵐浜までの間、5-6km にわたり海岸線に沿って走る道路にも国道402号との表示があり、これらはほぼ平行に走っている。どちらが本当の国道402号線なのか?
いずれもいまだ解決を見ないが、私は、本書の著者のように深く追求する予定はない。
『国道の謎』
| 著者 | 松波成行 |
|---|---|
| 出版社 | 祥伝社新書160 |
| 価格 | 924円(税込) |