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踏み台から落ちて頭を打ってから手足がしびれて…

恩田 清

(西区 新潟脳外科病院)

 

 日本では70歳以上の高齢者人口の総人口に占める割合は約20%に達し、90歳を過ぎていても元気で外来へ来られる方が稀ではなくなりました。しかし肉体の衰えは避けられません。年齢とともに筋力は落ち(サルコペニア)、関節の柔軟性はなくなり、バランス感覚(平衡機能)やいわゆる反射神経は低下し、認知機能も衰えます。また股関節・膝関節が悪い方も多く(ロコモ)、脳や呼吸器等に合併症をお持ちの方も少なくありません。こうなると僅かな道の凸凹で足を取られて転倒する、階段や踏み台から転落する等の事故に遭遇する機会が必然的に多くなります。

 80歳代の男性が自宅で踏み台を使って物を取ろうとしているときに、誤って転落して頭を打撲しました。幸い意識消失はなかったのですが、その後手足がシビレルといって来院されました。歩行は困難で、車椅子での移動です。受け答えは比較的しっかりしています。四肢の筋力は全般に低下し、腱反射亢進と病的反射がみられ、手足を動かす神経回路(錘体路)の障害が明らかです。良く聞くと、以前から階段の上り下りは両手で手すりにつかまりながらやっと行っていたということですから、受傷前から下肢の筋力低下はあったようです。

 以上の経過からは頸椎レベルでの障害が疑われます。MRI検査をしてみますと、脳は年齢相応の変化のみで、新たな出血や脳挫傷はありません。頸椎のMRIでは、予想通り脊柱管狭窄による脊髄(頸髄)の圧迫が高度にみられ、転落時に外力が頸椎に加わって神経組織(頸髄)が損傷されたものと診断しました。入院のうえ、元の状態(日常生活は自立)まで復帰できるよう治療を行いました。

 腰部脊柱管狭窄症は広く知られるようになりましたが、頸部脊柱管狭窄症はいまだに認知度が低いように思われます。頸部脊柱管狭窄症は高齢者に多い疾患です。中年以降、特に高齢者においては、この方のように頭部外傷により突然発症することが時々みられます。前述のように、年齢とともに転倒しやすくなる傾向がありますが、頸椎疾患をお持ちの方は通常よりも筋力低下が進行している場合が多く、一層転倒しやすくなっているといえます。

 一方、目立った症状を出さずにゆっくり進行する場合には(こちらの方が多い)、箸が使いにくい、ボタンがかけにくいといった指先の細かい動きが障害されやすく(巧緻運動障害)、またビンの蓋が開けにくい、階段の昇降に手すりが必要、など四肢の筋力低下による症状は「年のせい」と誤解されていることも多いと推測されます。その他、手先や足先のシビレ、尿意を催すと我慢できない、頸部の筋緊張亢進による頭痛・頸部痛もしばしばみられる症状です。

 高齢化社会の現代においては認知症が大きな社会問題になっていますから、「脳を守る」というキャッチコピーは的を射た謳い文句だと思います。その結果、アルツハイマーや脳卒中の予防・治療に世の関心が向かうのは当然でしょう。一方、脊髄は脳と同様に一度損傷されると完全な回復が困難な組織であるにも拘わらず、脳ほどのインパクトがないためか「脊髄を守る」という宣伝はあまり見かけません。

 今回提示した症例のように元々頸部脊柱管狭窄症があると、一見軽い転落事故に見えても強い頸髄症状が出現し、その後の日常生活に大きく影響する場合があります。特に高齢者においては比較的良く遭遇する病態であり、脊髄が損傷される前に予防することが望まれます。残念ながら投薬や理学療法などの保存的治療の効果は一定しておらず、脊柱管を拡大して圧迫を除く手術が一番確実な予防法です。手術法も格段に進歩していますから、できれば病状があまり進行する前に実施することをお勧めします。

(2017.10.27)

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