丸山 弘樹
(新潟大学大学院医歯学総合研究科 腎医学医療センター)
腹膜透析(peritoneal dialysis, PD)は、おなかの中にある腹膜の機能を利用して血液を 透析する方法です。腹膜とは、腹壁と内臓を おおう薄い膜です。おなかの中に入れたカ テーテルから透析液を注入して、一定時間ためておきます。この間に、腹膜の血管内の老廃物や余分な水分が徐々に透析液に移動します。この透析液をカテーテルから体の外に排 液して、新しい透析液と交換します。
連続携 行式腹膜透析(continuous ambulatory PD, CAPD)では、1日4回程度透析液の交換を します。CAPDでは、緩やかな透析が行える ので、体への負担が比較的少なく、血液透析と比べて、残存腎機能が保たれやすく、透析を始めてからも尿が出ます。血液透析では週 3回透析施設に通院する必要がありますが、PDは在宅ベース、自己管理の治療で、通院 は月1から2回で済みます。
また、夜間寝ている間に機械を使って自動的にPDを行う自 動腹膜透析(automated PD, APD)という方法があります。機械との接続と切り離しは、就寝前と起床後の1回ずつで済みます。 高齢および併存する病気(例えば、脳血管 障害による麻痺、視覚障害、手指の力の衰え)のため自己管理できない場合でも、家族、医療者から支援が受けられれば、在宅、老人 ホーム、透析病院などでPD治療を受けられ ます。このような支援を要するPDをアシス テッド(assisted)PDといいます。
今後、高齢で併存疾患を抱える腎不全患者の増加にともない、PDの方法としては、アシステッド PDの増加が想定されます。アシステッドPD では、CAPDと比べて支援者の負担が少ない APDが選択されることが多いです。支援者の負担を軽減するように配慮することも大切 です。
(2017.06.26)