今泉 聡
(西区 いまいずみ整形外科クリニック)
「患者さんを最初に診た医師(前医)よりも、後から診た医師(後医)の方がより正確な診断・治療ができるため名医に見えてしまう」ということわざです。
整形外科医院には、腰痛や下肢のしびれ感、膝痛、関節リウマチなど、いろいろな痛みをかかえた患者様が来院します。その中には「・・医院で診てもらったが、よくならない」と訴え来院される方がいます。内服を始めて2,3日、あるいは1回の注射ではよくならないことはよくあり、治療には時間がかかります。病気によっては薬を飲み始めてから改善の効果が現れはじめるのに2~4週間程度かかり、治るまで3カ月以上かかる場合もあります。
最初に診る医師(前医)はその患者様の情報が何もない中で、情報を聞き出し、必要と思われる検査を選び、診断・治療を考えていかなければいけません。しかし後から診た医師(後医)は、前医が聴取した情報や検査結果・治療結果などを参考にしながら、診断・治療を考えることができます。この場合、前医と後医では後医の方がより正確な診断・治療が出来るというのは明らかで、これを知らずにいると、不当に前医を過小評価したり、反対に後医を過大評価してしまうことになります。治療は医師との信頼関係も大切になってきますから、この不当な評価は治療にも悪影響を与えてしまう可能性があります。
なかなか病気が良くならないと、セカンドオピニオンを求めて別の病院を受診したり、転院を考えることもあるかもしれません。もちろん、セカンドオピニオンを求めることは悪いことではありませんし、転医が必要なこともありますので、この行為自体が悪いわけではありません。しかし、焦らず、じっくり治療に向き合うことが必要な病気もあります。時間が治す病気もあります。ですから、患者様には、最初に来院された医院で自分の病気についてよく聞き、医師との信頼関係を築くこと、むやみに焦らないことを理解してほしく思います。
(2017.01.26)