高見 暁
(西区 新潟医療センター 小児科)
子どもの病気では、アレルギー疾患は患者さんの多い病気であり、その中で最近話題となるのは食物アレルギーです。
ある特定の食べ物を食べることで様々な症状が起こる病気です。代表的な症状は皮膚のじんま疹や発赤、腫れ、かゆみで、他には咳、腹痛などもあります。稀に血圧低下や意識障害などのショック症状も起こします。いずれも食物アレルギーだけの症状ではありませんが、食事の後2時間以内に突然それらの症状が出たときは、食物アレルギーの可能性があります。この病気になる人は全世界的に増えており、赤ちゃんの約10人に1人は発症しているとも言われ、意外と身近な病気です。子どもの病気というイメージがありますが、実際は赤ちゃんから高齢の方まで発症しています。
食物アレルギーの原因は今のところよく分かっていません。アレルギーの病気を発症しやすい体質が受け継がれる遺伝的な理由が考えられていますが、それだけではなく生まれてからの環境的な理由など様々な要素が複雑に関係しているようです。つまり誰のせいでもなく、いつでも誰でも発症する可能性があります。ただし発症を予測することはできず、また発症を予防する確実な方法もありません。例えば兄が卵アレルギーの場合、弟の時に母親が妊娠中や母乳育児中に卵を食べないことがその発症を予防すると言われた時代がありましたが、現在は予防できないことがわかっています。離乳食で卵を食べる時期を遅らせることも予防にはならず、まだ研究中ですがむしろ卵を早めに食べた方が発症しにくいのではないか?という報告も出てきました。
この病気の治療は原因の食物を食べないことが基本ですが、子どもで発症した場合は成長に伴い治りやすく、徐々に食べられる量が増えることも多いため、その時点で食べられる量までは食べるという必要最小限の除去を目指します。
このように食物アレルギーへの対応は以前と比べて変わりつつあるので、お困りの方は医療機関でご相談下さい。
(2017.07.31)