小熊 隆夫
(北区 松浜病院)
不眠症状は様々な疾患に伴いよく認められる精神症状ですが、対症療法的に一般的な睡眠導入剤を使用しても良くならない「脚むずむず症候群=レストレスレッグス症候群」という疾患をご存知ですか。
日本では人口の1~4%の人が罹患しているとされており、そのうち治療が必要とされるのは3分の1から半数程度といわれています。
症状は、夕方から夜間、長い時間じっとしていなければいけない時、脚がむずむずするとか、ひりひりするとかいった不快な症状が出現し、脚を動かしたりすることで改善するが、またじっとしていると不快感が出現するといったものです。日内変動があり、夜間に特に出現・増悪するために不眠症状を呈することになる訳です。不快な感覚としては、その他、熱感や痛みを訴えたり、電気が流れるような虫が這うような感覚として訴えられることがあります。
女性に多く、特に妊娠期に多いことも報告されています。また腎不全や鉄欠乏症で多いことも報告されており、体の病気に合併して症状が二次的に出現することもあります。
不眠症状が継続、増強することで日中の活動性が低下して抑うつ状態になることもあり、このため精神科に受診、紹介されることもあります。
対症療法として日常生活の改善(規則的な生活をする。適度な運動をする。カフェイン、アルコール、ニコチンなど症状を悪化させるものを避ける。など)もありますが、薬を使用する治療も行われるようになっています。
不眠症状は生活習慣の乱れや精神的ストレスでも起こり得ますが、通常はそれらを改善することで早期に症状はなくなります。それらの要因もなく、毎日、数時間しか眠れず日中の活動に支障があるような状態が続くようであれば、不眠症状に隠れた疾患がある可能性があります。そのような場合には早めに掛かり付けの医療機関に相談してください。
(2017.02.27)