院長 恩田 清
当院は新潟西バイパス黒埼インターから降りて直ぐの国道8号線沿いにあり、駐車場は無料ですから自家用車で来院される場合の便は大変良いと思います。1988年12月に現在の5階建て西棟の一般病床150床で開院し、1995年3月に10階建て東棟竣工により一般病床190床に増床しました。その後数年おきに変更が加えられ、現在の認可病床は178床(一般120床は7対1看護、回復期58床は15対1看護)で、診療科目は脳神経外科、神経内科、内科、麻酔科、リハビリテーション科となっております。2017年1月現在、常勤・非常勤を合わせた医師数は12名で、看護部・薬剤部・診療放射線部等のコメディカルを加えた総勢約200名で診療を行っております。
2016年の診療実績は外来患者数50,619名(1日平均172.8名)、入院患者数33,351名(1日平均一般病棟63.6名、療養棟27.5名)、手術件数232件(外科的手術143件、血管内手術89件)でした。脳血管障害、外傷、良性腫瘍、脊椎疾患等が主体となっています。脳ドック・人間ドックにも力を入れており、2016年度には上部消化管内視鏡検査も加わり、年間700~800人が受診しています。
脳神経外科的疾患をメインターゲットにした病院ですから、脳卒中や頭部外傷を中心とする救急医療は大きな柱の一つで、当院は脳神経外科的救急患者を受け入れる救急指定病院になっております。近年脳卒中の疾患構成が大きく変化し、出血性疾患が減少して閉塞性疾患(脳梗塞)が増加しております。脳梗塞に関する診断・治療は急速に進歩しており、特に発症早期に的確な治療を行うことが大変重要です。また急性期を過ぎた後の再発予防のためには幅広い知識が求められる時代になっております。当院は日本脳卒中学会専門医認定制度による研修教育病院に認定されており、良質な脳卒中診療を地域住民に提供すべく職員一同日々努力しております。
高齢化が進むとともに認知症を診る機会も増えております。認知症の方が脳卒中を起こして搬入される、慢性硬膜下血腫や正常圧水頭症を合併して受診する、など日常茶飯事に経験しております。脳神経外科的知識に加えて認知症に関する一般的な知識は必要不可欠になっており、今後益々神経内科医との連携を密にして診療にあたる必要があると思っております。また高齢者は糖尿病、心疾患、消化器系疾患など内科的疾患や眼科的疾患、整形外科的疾患など種々の持病を合併している場合が多く、医師会の先生方には色々お世話になることが多いと思いますので何卒宜しくお願い申し上げます。
当院の医療機器設備は比較的充実していると思います。2014年10月に電子カルテが導入され、ペーパーレス・フィルムレスへ移行しました。診断機器としては1.5T MRI2台(Siemens, GE)に加え、2015年12月から3T MRI(Siemens Spectra)が稼働し、特に汎用性の高いMRAとDWIの診断能力が格段に向上しております。またMRIが3台になったことで、急患・新患への対応が大変スムーズになりました。さらに320列CT(Toshiba Aquilion ONE)、flat panel biplane angio(Philips Allura Xper)、SPECT(Siemens)、超音波エコー2台を備え、手術用顕微鏡2台(Zeiss, Leica)、内視鏡(Karl Storz)、Cアーム、電気生理学的モニター、CUSA等の手術関連機器も整備されています。
当院は開院当初から解剖室・病理部門を備えており、病理組織診断やCPCを自前で行える恵まれた環境にあるといえます。急患として搬入され、不幸な転帰をたどられた方の病理解剖により、思いがけない所見を提示されて勉強させられることが多々あります。また病理解剖・ブレインカッティング・CPCは、コメディカルに対する教育にも大きく貢献しています。こうした地道な活動の積み重ねの中から、これまでに幾つかの世界へ発信できる成果を上げてきました。
最後になりますが、当院は新潟大学脳神経外科学教室の関連病院として教室と緊密に連携をとりつつ、より充実した医療を提供し、地域医療に一層貢献できるよう体制を整備してゆく所存ですので、医師会の諸先生方におかれましては御指導御鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。
何(なに)となく 心さやぎて
寝(い)ねなれず 明日(あした)は春の
初めと思へば (良寛)