新潟臨港病院長 湊 泉
当院は1946年に新潟臨港開発(現、リンコーコーポレーション)の診療所として設立され、1951年に医療法人新潟臨港保健会となり、病床数は最も多い時で300床(1971年)ありました。2004年に現在地の新潟みなとトンネル山の下側入口近くに新築移転し、実情に合わせ急性期150床、療養病床49床の計199床となりました。現在の体制は一般150床、地域包括ケア病床25床、療養病床24床で、常勤医師19名、歯科医師1名です。2012年には親会社の「専門的にスピーディに経営する」との方針で大阪の新仁会グループに加入しました。同時に電子カルテを導入し、2014年にはDPC算定病院、社会医療法人となりました。また、2015年4月には旧新潟逓信病院を譲り受け、新潟万代病院として開設しました。
近年病院の動きは激しくなっていますが、本来の目的を忘れず、地域に根ざした丁寧な医療を心がけています。病院機能を客観的に評価する目的で2005年に初めて病院機能評価を受審し、2015年に二回目の更新をしました(3rdG, v1.1)。第三者の立場から病院機能を評価していただくことは有意義と考えています。
診療の専門性としては腎・泌尿器疾患、下部消化管疾患、呼吸器内科疾患、整形外科疾患が挙げられます。腎疾患に関しては1985年に霜鳥医師(前院長、現顧問)のもと腎透析センターを開設し、腎臓病の専門外来を始めました。現在は30床で、大澤副院長、小川センター長と大学医師の応援をいただき2交代で透析を行っています。2012年には泌尿器科 糸井医師が赴任し、腎・泌尿器系の診断治療の幅が大きく広がりました。消化管の外科では渡邊診療部長を中心に腹腔鏡視下手術を得意としています。痔の治療は以前から評価をいただいておりましたが、小林医師はその伝統は受け継ぎながら、便失禁外来など新しい分野に挑戦しています。内科では鈴木副院長の得意とする内視鏡検査・手術が多く、特に下部消化管内視鏡では県内有数の検査数となっています。肝臓専門の窪田医師、井上医師も加え、内科外科ともに充実した消化器の診療体制をとっています。呼吸器内科に関しては坂井医師を中心に桶谷、筒井の3名の医師が担当しており、COPD、SASでは市内の拠点病院の一翼を担っています。呼吸リハビリテーションの取り組みにも積極的で、学会賞を受賞するなど大きな成果を上げています。整形外科では私と佐藤朗医師で下肢の外科を担当し、私は人工関節手術を、佐藤医師は外傷を担当し、特に創外固定では優れた技術を持っております。上肢の外科は、2014年に松崎医師が赴任し、切断指再接着、皮弁形成などマイクロサージャリーへと守備範囲を広げ、新潟市の手の外科の拠点の一つとなっています。麻酔科 本間医師、眼科 橋本医師、婦人科 西山医師、歯科口腔外科 中川歯科医師は一人医長ですが、集学的医療を行う上で欠かせない存在です。
国の政策上、地域包括ケアが推し進められていますが、当院は1995年に訪問看護ステーションを開設して以来20数年の実績があり、2015年には訪問リハビリテーションを開始し、患者さんの要望に応えられるようになりました。今春には万代訪問看護ステーションを合併し、規模を拡大することにより、さらにニーズに沿う予定です。地域連携センター(相談室・連携室)はMSW5名、看護師1名の体制ですが、2016年3月には新潟市在宅医療介護連携推進事業の「在宅医療・介護連携ステーション」を市内で初めて開設しました。相談・研修・市民啓発の窓口として活動を進め、今後、訪問看護と併せ在宅医療を推進していく予定です。この2017年春には、がん患者さんにより快適に治療を受けていただくため、外来化学療法室を開設します。また、社会的に大きな問題である認知症の診断・治療のために認知症外来の充実を図る予定です。
小規模病院ではありますが、小回りの利く病院として、新潟市の医療に貢献したいと思っております。今後も当院をご利用くださいますようお願い申し上げますとともに、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。