国立病院機構西新潟中央病院 院長 内山 政二
1.ツインタワーの専門医療と安全保障
結核の西新潟として知られてきた当院は、ハード・ソフト両面で全く別の病院と思われるほど様変わりした。現在は総ベッド数400、呼吸器疾患と神経難病のツインタワーの専門医療を展開している。
呼吸器疾患では肺がんの診断、手術含む治療、在宅と広く対応している。結核は30床であり、今年から県内の専門病床は当院に集約された。しぶとい病気であり、肺のみならず、結核性髄膜炎や骨病変(カリエス)の患者が今でも入院することがある。不採算だが、地域医療の安全保障として、止めるわけにいかない。
神経難病では、診療に手間がかかるために、当院でなければ対応が困難な重症患者を多く診ている。また、Post NICUとして、大学や市民病院の受け皿にもなっている。てんかんやパーキンソン病では脳外科手術も行っている。特にてんかんは、全国で8か所の拠点施設に認定されており、海外の患者も来院している。
2.親方日の丸、今は昔で税金注入なし
全国の国立病院は統廃合を経て、2004年に独立行政法人の国立病院機構となった。国立大学や他の公的病院とは別の組織であり、全国で142病院、新潟県では当院、新潟病院(柏崎市)、さいがた医療センター(上越市)の3病院が所属している。法人化後は独立採算となり、赤字補てんのための税金注入はゼロである。残念なことに、この点は医療関係者にもほとんど知られていない。災害医療や救急医療の一部に補助金はあるが、それらは旧国立だからという理由で降ってくるわけではなく、他の医療機関と同列に扱われている。結核のような不採算部門も抱えているが、税注入は一切なく、他分野の黒字で埋めている。それどころか、職員の年金関連の病院負担割合は、民間以上の%が課せられている厳しい状況である。
3.地域医療支援病院としても独自色
・医療的ケアを要する重度障害児:専門デイケアを土日も休まず実施している。内容は喀痰吸引、リハビリ、シャワー浴、昼食介助などであり、多くのマンパワーを投入している。レスパイト(保護者の休養や冠婚葬祭)のショートステイは常に複数名が入院しており、利用数は年間延べ1,000泊を超えている。これらデイやショートは、家族支援としても喜ばれている。保護者が付き切りのケアから解放され、冠婚葬祭や他の子の学校行事に参加できるからである。
・訪問看護ST:重度呼吸不全や肺がん末期、呼吸管理を要するほどの重度神経難病など、一般の訪看STでは対応が困難な患者の生活を支援している。
・女性医師支援:これも医師不足地域の医療支援の一環と捉えている。これに関しては、本号に掲載の当院神経小児科、小林悠医師のDoctor’s Caféをご覧いただきたい。
・新潟医療技術専門学校:敷地内に2017年に開学した(写真)。看護学科1学年80名、臨床検査技師科40名で、学校法人が運営している。医療人材の育成も地域医療にとって重要なことであり、実習では多くの医療機関から協力していただいている。関係施設の皆様に、この場を借りてお礼申し上げます。
先生方におかれましては、呼吸器疾患、神経難病、小児から超高齢者までの重度障害者の診療や手間のかかるリハビリ、そして専門学校、どうぞ当院をご利用ください。