院長 吉田 俊明
(1)済生会の歴史
済生会新潟第二病院は社会福祉法人の急性期病院として、また教育病院として新潟市西地区の地域医療に貢献しています。その歴史は古く、明治44年の済生勅語に遡ります。昭和2年、新潟市田町に内科・小児科を標榜した済生会新潟診療所を開設しました。済生会は社会的弱者を救済することを使命としており、新潟診療所でもそれに従い無料診療・投薬を実施し、無医村への巡回診療を行いました。その後病床機能を徐々に充実させ、昭和25年に病院となり、昭和35年に230床を有する総合病院となりました。
平成3年、新潟県済生会発祥の地である新潟市田町を離れ、新潟市西区寺地に新築移転し済生会新潟第二病院として350床で開院しました。平成11年に増改築を行い、400床規模で診療を行っています。
(2)医療連携の推進
平成12年、医師会と協定を締結して登録医を募り、オープンシステムを開始しました。これは当院の医療機器や病床および分娩・手術設備を登録医に開放し、登録医に当院の資源を活用してもらうものです。登録医はこのオープンシステムを利用することによりCTなどの検査を予約し検査結果を得ることができ、入院患者の主治医・副主治医や分娩・手術の術者・助手になることができます。実際の運用に際しては、検査・治療の安全性を担保するために、登録医と当院勤務医との複数主治医制をとっています。両者を仲介する医療連携室は重要で人材育成に力を入れました。オープンシステムは地域完結型の医療を遂行するために当院にとって必須の機能となっています。
(3)現況
当院は地域医療支援病院、基幹型臨床研修病院、地域周産期母子医療センター、臨床研修病院、災害拠点病院として活動中です。当院は母乳育児を推進しておりユニセフより「赤ちゃんにやさしい病院」の認定を受けています。また、病院機能の改善活動に積極的に取り組み日本医療機能評価機構とISO9001の認証を得ています。
現在は、急性期383床(稼働364床)、回復期リハビリテーション42床(稼働42床)で、職員数は806名で、医師88名、看護師403名。標榜診療科目は27を数えます。平成29年度の一般病床稼働率は88.4%、回復期病床は80.3%(平均在院日数はそれぞれ13.1日、43.2日)。外来患者数は1日平均888名。救急車受け入れは年2,140件。全身麻酔件数は年2,563件。放射線治療件数は年116件でした。
診療設備・機器は放射線照射装置(マイクロトロン)1台、血管造影機器2台、1.5テスラMRI 1台、320列CT 1台、80列CT 1台、ICU 2床、手術室8室、クラス1無菌治療室11室などを備え診療しています。
当院は新潟市西地区の基幹病院と評価していただけるよう、日常診療に励んでいます。ご紹介いただいた患者さんに的確な診断・治療をおこない、確実に逆紹介することを職員に周知しています。さらに徹底させるため逆紹介キャンペーンを実施中です。新潟医療圏の救急医療体制は絶妙なバランスの上に成立していますので、ちょっとした作用で機能不全に陥るリスクがあります。当院では救急医療を充実させ、より良い地域医療・地域包括ケアシステムの構築に貢献してゆきます。