山本 泰明
NHKで放映された「みをつくし料理帖」はご覧になりましたか? 江戸時代末期の大坂に生まれた天涯孤独な少女・澪(みお)が、料理の腕だけを頼りに江戸で艱難辛苦を乗り越え、やがて一流の女料理人となるまでの波乱万丈の物語です。「雲外蒼天」。頭上には垂れ込めた雲。だがそれを抜けると必ずや青い空が広がっている。それが澪の人生を象徴する言葉でした。この澪が料理人をつとめるのが「つる家」。苦難の末に繰り出される美味しそうな料理の数々に、見ているだけで思わず喉が鳴ってしまうドラマでした。
そして、現代の新潟市内には、若き女性料理人が腕を振るうおでんや「おつる」があります。澪のように料理するのは、みさきさん。平成28年3月25日に開店した、和食の名店「まろぎ」の2号店です。
お店は漆喰の壁に暖簾、看板には小さく「おつる」。引き戸にはまったガラスから、店内の様子が垣間見えます。とにかく一度、暖簾をくぐってお店に入ってみてください。「いらっしゃいませ」とかわいい声がかかります。女性スタッフのみの和やかな雰囲気の中、ゆったりとくつろぎつつカウンターに座り、日本酒片手にみさきさんの手仕事ぶりを眺めながら待ちます。「お待たせしました。どうぞ」と美しい器に盛られた、ひと手間かけたおでんが出され、これが「つる家」なら、店主の種市が「いけねぇ、こいつはいけねぇよぉ」と、満面の笑顔で食べるところです。
卵、大根、こんにゃくといった定番メニューのほか、季節のおでんは旬の野菜を楽しめます。春菊、蕗、レタス、アスパラなどの変わり種も。自家製のはんぺんは弾力があってとても美味しいし、新じゃがにガーリックバターがついてくるのも一味違います。趣のある器に、ひと品ずつ食べやすいように盛り付けられて出てきますよ。これから暖かいおでんが恋しくなる季節を迎えます。「ご馳走さま」を言いに、是非行ってみてください。
おでんや おつる
住所 | 新潟市中央区古町通9番町1465 |
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電話 | 025-201-7356 |
営業時間 | 17:30~22:30 |
定休日 | 日曜日 |