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新潟市医師会報より

新潟市医師会

T&Fギャラリー

木村 洋

いつまでも忘れられない絵があると言います。新潟駅万代口から流作場五差路を抜けて万代橋に向けての大通りを散歩の道すがら、右手のショーウインドウに暗く・重い、しかし鮮烈な色使いの紅色の背景にオレンジ色のガウンを纏った物悲しい顔をしたピエロとおぼしき人物画のポスターを見かけました。インパクトの強いポスターが印象に残り、ショーウインドウを覗き込んでみると美術館と知りました。心に残るポスターでしたので、後日夫婦でその美術館を訪れてみました。けして広いスペースではありませんが、ゆったりした空間に冒頭のポスターに掲げられたピエロの絵と鴨居玲の原画作品19点を常設しています。明るい色調の絵はなく、ほとんどが自画像と思われるピエロ像と老婆や酔っ払いの絵です。いずれの作品も愁いをおび、時には鬼気迫る表情の作品ばかりです。

鴨居玲の作品は自画像としてのピエロの作品が多く残されています。彼の作品をじっと見ていると彼の苦悩に引き込まれていく感覚にとらわれ、一度見たら忘れられない世界です。

ウィキペディアやネットで調べると、鴨居玲は金沢市出身の洋画家で、地元で宮本三郎に師事し、絵画制作を続けていたようです。制作の苦悩を打開するため南米、パリ、ローマなど海外に渡り、1969年には新人洋画家の登竜門である安井賞を受賞し注目されるようになりました。その後再びパリやスペインで修練しています。しかし持病の狭心症の度重なる発作やがんに侵されていたとも言われており、大量のアルコールや睡眠薬摂取を繰り返し半ば自殺未遂のような自傷行為を繰り返し、ついには大量のアルコールを摂取し、自家用車に排気ガス引き込んで自死に至ったとのことです。美術批評家である坂崎乙郎はゴッホ、エゴン・シーレと鴨居玲を狂気に満ちた画家と称しています。死に対する恐れではなく、願望を描いたともいわれています。アトリエに残された遺作も赤いマントを纏ったピエロでした。

この美術館はテンプスタッフフォーラム㈱が創業35周年記念事業としてオープンした鴨居玲美術館とのことでした。鴨居作品を19点常設していますし、時には他の画家との企画展を行っています。

ギャラリー自体はこじんまりした空間ですが、静かで落ち着いたスペースです。館内の中央付近にはテーブルが置かれており、その上に鴨居玲の関連書籍や資料が並べられています。絵を鑑賞した後、書籍に目を通し、彼への理解を深めることも出来ます。また、ギャラリー内ではコーヒーのサービス(有料ですが)も行われています。ベンチに腰掛け街中の喧騒から逃れ、絵をもう一度眺めながら余韻に浸り、ゆったりと時を過ごすことが出来ます。

T&Fギャラリー

住所 新潟市中央区万代4-1-6 新潟あおばビル1F
TEL 025-290-7011
開館時間 10:00~13:00(最終入館12:30)
14:00~17:30(最終入館17:00)
※13:00~14:00は休憩時間
休館日 月・火・祝日・年末年始・お盆
※ほか不定休あり
入館料 300円(税込)
コーヒーサービス 200円

(令和7年12月号)

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