大橋 美奈子
春爛漫。柔らかな陽ざしを浴びながら、今年もまた、桜のトンネルを愛犬と歩くことができました。老犬となり、冬の時期は外に出なかったので喜びもひとしおです。
ラグビー日本代表「BRAVE BLOSSOMS」のエンブレムには、桜がデザインされています。これは、正々堂々と戦い、散るときは潔く美しく散る、という武士の精神が込められているそうです。代表選手はこの言葉を胸に刻み、世界の強豪国に挑み続けているのですね。
さて、桜といえば桜餅。春が近づくにつれ和菓子屋さんに並びはじめますが、大きく分けて2種類あることをご存じでしょうか。答えは、こしあんとつぶあん……当たり。でも、ここでの正解は関東風と関西風です。
関東風の桜餅は「長命寺」といい、あんこを包むように桜色の餅がくるっと巻かれ、さらにその上から桜の葉が巻かれます。江戸時代、長命寺の門番であった山本新六が発案したもので、大量に降り積もる葉を賢く利用したものです。餅の乾燥を防ぐだけでなく、その独特の風味が大評判となったとか。
一方、関西風の桜餅は「道明寺」といい、見た目はピンク色のおまんじゅうです。実は、私は新潟に来るまでそれを知りませんでした。そのため、はじめは「えっ? 何これ」と思い手に取りました。表面がやたらとぶつぶつして意味不明。ひょっとして、私が大好きな会津柳津名物「あわまんじゅう」に、キャッチーなピンク色を付けたコピー商品なのかと疑惑の目を向けました。あのぶつぶつの正体は、もち米だったのですね。
ここでひとつ問題があります。塩漬けされた桜の葉を一緒に食べるか、食べないか。フォーマルな場面では、葉を綺麗なまま残すのでしょうか。気になって調べてみたところ、正式な作法はなく、どちらでもマナー違反ではないようです。要は各自のお好み次第。ならば私は断然一緒に食べる派です。皆様はいかがでしょうか。
新茶が美味しい季節を迎えます。香り高い爽やかな新茶と甘い和菓子。一年に一度、日本の贅沢な旬を楽しみましょう。