熊谷 敬一
大阪・関西万博が開幕した。前売り券の発売数が予定を下回ったとのことであったが、それなりに盛況のようである。今後更なる入場者の増加が見込まれるのではないかと思う。大阪では55年前の1970年にも大阪万博が開催された。今回の開催地は大阪湾岸の人工島の夢洲であるが、55年前は山側の千里丘陵であり、現在は万博記念公園になっている。当時小学生だった私は家族とともに大阪万博を訪れた。とても暑く大勢の入場者で混雑していた。万博のテーマが「人類の進歩と調和」であり、前年の1969年にアポロ宇宙船が地球に持ち帰った月の石が展示されたことで注目を集めた。月の石はアメリカ館だけではなく、アメリカから供与を受けた複数のパビリオンでも展示されていた。
2023年に私はその万博記念公園に行く機会があった。53年の時を経て、かつて訪れた地を再び訪れたということ自体、とても感慨が深かった。入り口を入ると傾斜のある地面に太陽の塔が立っていた。当時は鉄製の大屋根に覆われたお祭り広場の端に、その大屋根を突き抜ける形で太陽の塔が立っていたが、今は緑に囲まれた穏やかな環境になっている。背後には舗装された長方形の大きな広場があり、当時と同じお祭り広場という名称である。その他にも公園内に大小の広場が点在し通路で結ばれている。樹木が多く通路が木陰になっていたりもする。池があり池のほとりには国立民族学博物館がある。万博記念公園の南側を大阪モノレールと中国自動車道が並行して東西に走っており、帰りの飛行機からその様子がよく見えた。太陽の塔も小さく白い点の様に見え、思わずスマホで写真を撮った。
偶然ではあるが今年も近々万博記念公園に行く予定があるので、そのついでに足を延ばして大阪・関西万博にも行ってみようと思っている。今度は鉄製の四角い大屋根ではなく、世界最大の木造建築物に認定されたという環状の大屋根リングを見ることができるだろう。